トランプ氏へのメッセージ4:M・ハドソンの「日本はなぜ借金大国になったか?」4   

【まとめ】

日本の財政問題や国債残高の問題を語るとき、日本政府は国民への課税が少なすぎる、あるいは歳出が多すぎる、という言い方をする。
これは金融、保険、不動産部門の税負担が低すぎるという事実から焦点をそらして、日本国民全体がもっと税金を支払うべきだということをほのめかすためである》。

日本の財政問題を国際的な場面に置いて検討することが重要である。日本の国債を単に日本国内の問題であると捉えてしまうと、米国政府が米国民や企業に対する課税を避けるためにおこなわれている悪循環を断ち切ることはできない。
これでは、大蔵官僚が米国のやり方こそ正しいと洗脳されてしまうことと同じである》。
日本が抱えている問題と全く同じ問題に米国が苦しんでいることを忘れてはならない》。
事実、日本が財務省証券を購入して直接的に援助しなければ、また米国の外交政策や海外の軍事費を資金援助することで間接的に米国経済を救済しなければ、米国の財政問題はさらに深刻さを増すのである。

今、
日本国民にとって最悪なことは、不労所得に税金を課すのではなく、消費税を5%、ひいては1 5%にまで引き上げることを大蔵省が主張している点である》。
この政策をとると、消費財や賃金に 課税することによって輸出品に組み込まれる労働コストが上昇し、国内の生活水準が低下してしまう 》。
そしてその一方で、不動産や金融投資家は、生産的なサービスを積極的に提供しなくとも、資 産価値が上がるのをただ待っているだけで裕福になっていくという、とんでもない構図ができあがる 》。

これはまさに米国式のやり方である。先に述べたように、
米国の全資産の約3分の2が不動産である にも拘らず、不動産業界に支持された政治家が税法に書き入れた税制の優遇措置や抜け穴のお陰で、 不動産業者は所得税を事実上、全く支払っていない》。

これが本当に日本が目指したい方向なのであろうか。この道を辿れば、日本の企業家は、日本国民の幸福や経済的なバランスにつながる財やサービスを生産するよりも、バブル経済を復活させた方が儲かるようになってしまう。

不労所得(地代、賃貸料、金利、キャピタル・ゲイン)にはできるだけ高い税金を課し、資本投資や就労所得からの収益に対してはできるだけ低い税金を課すべきだと経済学者は認めている》。
固定資産税を引き上げても土地の供給は減らないが、賃金に対して増税すれば、労働力の供給や、純粋な経済的収益、さらに購買力は減少する。
消費税を値上げすれば、日本経済を動かす収入と支出の循環は徐々に蝕まれていく。資金は市場から引き上げられ、もっぱら土地や株式市場の投機に回されることになるであろう》。

もちろん問題は政府の負債にとどまらない。日本の民間企業も不動産抵当など、大きな負債を抱えて いる。《民間の資産の負債が増えれば増える程、企業収入の中で、金利の支払いや債務の返済に向け られる金額が増える。その結果、設備投資やR&D、開発関連向け新規投資のための資金が減少するこ とになるのだ》。

日本は、健全な成長と不健全なバブルの膨張を区別する新しい会計様式を導入すべきである》。
G DPの成長の中で、金利の増加や、賃貸料の増加といった偽りの成長がどれ程、占めるのかを表す必要 がある
のだ。

残念ながら、
今日の日本の会計様式は価値の影響を受けない新しい経済理論を反映している》。
古典経済学が特定の雇用と融資は生産的ではないとして区別していたものを、この新しい理論では区 別してはいない》。
重農主義者の時代には、経済は余剰物を生産するものと捉えられていた。金利と 賃貸料(さらに戦争費用)は、この余剰物から支払われる支出であった。
このような古典的な考え 方では、FIRE部門全体が悪性腫瘍として生産的経済基盤の上に異常成長したものと考えられていた》 。

日本が米国を手本にしようというのなら、
1929年以降に米国で増えた労働力が、古典派経済学者が 「非生産的な雇用」と呼んだものであることに気づかなければいけない》。
増加のすべてがサービス 分野からで、工業分野の労働力は全く増えていないのだ。楽観的に見れば、このような状況も工業や 農業、運搬などに携わる生産的な労働者が、急増する非生産的な労働者の上部構造を支えてきたでは ないか、と言うかも知れない。しかし実際には、
このFIRE部門の労働者こそ米国経済が直面する問題の本質なのであり、不労所得社会を形成している
のである。現在米国の財政問題の原因として、 高齢者、障害者、そして社会保障や医療保険の受領者などが「権利ばかりを要求する」社会の依存者 として非難されている。
しかし彼らが財政難の原因として非難されるのも、政府が政治的権力を持 つFIRE部門における不労所得者への利子支払いを削減しないがため
なのである。

この点に関する日本の状況が表8-bに示されている。日本が高齢化し、多くの階層が貧しくなっている という事実があるにも拘らず、日本の社会保障費は、他の諸国と異なり政府支出の20%で一定してい る。急増しているのは国債費(政府の公債処理コスト)であり、社会保障費と同じ規模にまで膨らん でいる。金利が上昇し始めれば、国債費はさらに急激に増えるであろう。その結果、他の支出項目に しわ寄せが行くか、あるいは財政赤字を賄うためにさらに借金を増やすか、紙幣を発券するかのいず れかになるであろう。

表 8-a.一般会計の内訳:歳入(単位:10億円)

     1975   1980   1985  1990  1995*
所得税  5,482  10,800  15,435  25,996  21,350
法人税  4,128   8,923  12,021  18,384  13,726
相続税   310    441  1,061   1,918  2,684
地価税         434
消費税       4,623   5,980
酒税    914  1,424   1,932   1,935  2,172
たばこ税        884   996   1,038
総額   21,473  44,041  53,993  71,703  70,987

*1995年度当初予算

表 8-b.一般会計の内訳:歳出(単位:10億円)

         1975  1980  1985  1990  1995
社会保障関係費  4,136  8,170 9,902 11,481 13,924
文教・科学振興費 2,707  4,606 4,883  5,410  6,076
国債費      1,102  5,492 10,181 14,314 13,221
恩給関係費     759  1,653 1,868  1,832  1,727
地方財政関係費  3,351  7,829 9,690  15,931 13,215
防衛関係費    1,386  2,250 3,179  4,253  4,724
公共事業関係費  3,487  6,896 6,891  6,956  9,240
経済協力費     168   368  572   819  1,035
中小企業対策費   125   240  210   240   186
エネルギー対策費  424   601  547   682
食糧管理費     915  1,030  694   404   272
産業投資特別会計へ 65    2.7 1,283  1,281
その他の事項経費 2,660  4,448 4,335  5,800  5,053
予備費        350
総額       20,861 43,405 53,005 69,269 70,987

* 1995年度当初予算


バブル期における日本の成長はほとんどが癌細胞のようなものであった。それにも拘らず、日本は不動産のキャピタル・ゲインや賃貸収入や金利への課税を最低に抑える財政政策をとり、この傾向を阻止するどころか、むしろ状況を悪化させてきた。

この経済上の間接費を表す国民所得のデータが、すぐに使える形で提供されていない。このような会計様式が、政府の政策的な失敗に対する前向きな対処を遅らせているのだ。日本が今日の米国式の財政哲学を手本に増税を行えば、人間の身体でいうと「脂肪」に当たる地価の上昇や株式市場の収益といった「不労増価」ではなく、国家の活力に当たる賃金や企業の利益といった「骨」の部分に増税してしまう恐れがある。

日本は間接費と富とを区別する包括的な会計様式が必要
なのである。不労増価を明確にし、優遇 するのではなくそこに課税するために、
日本は、金融上の資金の流れを表す統計と、新規投資や有 益な財やサービスの生産に関する統計を結び付ける必要がある》。
このような会計様式で表されれ ば、財テクではなく企業本来の活動が促進されるようになる》。
さらに
この統計によって、FIRE部 門の負担を軽くするために大蔵省が消費税増税を行おうとしていることがはっきりとわかる
であろ う。

さらに、
このような統計があれば、企業の政治献金や官僚の天下りにかかるコストと、そうした政治的影響力の強い部門に対する課税控除額とを比較することも容易になる
であろう。万が一、こう
した比較が可能であれば、経済活動に資金を投じるよりも、同じ金額を政治家に支払った方が見返りが高いことが浮き彫りになるであろう。

そして
大蔵官僚は、その統計を使って日本の国益ではなく米国の外交、経済上の目的を満たすために日本の税金や借金がどれ程増加したのか、国民に示すことができる
であろう。

[ 更新日時:2008/10/25 18:07 ]
この記事のURL: http://www.doblog.com/weblog/myblog/19256/2621428#2621428


というわけで、ミスター・トランプ、アメリカ経済の低迷は、あなた方大富豪たちが一切税金を払わないで私腹を肥やしていた事が原因だったのだが、そんなアメリカ経済を根本から多額の米国債を買って支えてきた国家が我が国日本だったのである。

日本に足向けて寝るなよ、トランプ!



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by kikidoblog2 | 2016-02-10 20:42 | 昔のブログ・BBSから

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