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氷の天才フローリー「I feel pity for you!!」:いや〜〜会わなくてよかった!?   

みなさん、こんにちは。

たまたま面白い話を見つけたので、ちょっと絵本化して、ここにもメモしておこう。以下のものである。こういう話はなかなか聞けない。こういうものを実体験者から聞いて本にすべきなのだ。
狂躁亭日乘・I feel pity for you!!201604270000

もうすぐ父の1周忌になります。
母も入れ違いで
10日後に死んだので一緒に
と思ってるんですけどね。

父は認知症多少入ってましたが
昔のことよく覚えていて
亡くなる前日まで私と
昔の話をしていました。

何度も聞いた話ですがね。

父親は高分子化学とレオロジーと
両方やってた人で

化学と物理のエッジにいた人です。
化学屋さんは数学が
それほどできない人が
多いんだけど

もともと父親は
兵学校に行かなければ
数学屋になってたかもしれない
ってくらいの人だった。

現在生物学がそうだけど
結局数学が出来ないと
ダメなんですね
どの分野も。

おかげでつぶしが利いた。

数学が得意だと途中からでも
行きたい所に行けるんですよ。

アメリカに留学ではなくて
研究者としていったんだけど

これもこっちで発表した論文が
あっちの雑誌にうまく
掲載されたおかげで

結局京大の先生が
気が利いてたところだけど

向こうから来ないかと言われた。

こういうことって大事だけど
先生の縁というか巡り合わせも
良かったですね。

結局人生って
出会いで決まると思います。

日本と違っていたのが
学会発表だったという。

ポール・フローリ-
(Paul Flory 1910~1985)
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という
鬼のような天才がいて

この人は化学も物理も数学も
全部できる人。高分子化学に
統計熱力学の考え方と確率論を
持ち込み

レオロジーといわれる学問
そのかなりな部分を
殆んど独りで作っちゃった
という天才です。

この分野では
ウォレス・カロザース
(Wallace Hume Carothers
1896~1937)
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という天才がいて

ナイロン
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という
20世紀の大発明をやっている
んですけれど

デュポン研究所の先輩だった彼を
自殺に追い込んだ一因が
後輩のフローリーだった

・・ともいわれる。

そこそこ長寿だったので
あれだけ人の怨みをかっても
ノーベル賞はちゃんともらってる。
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ともかく他人の欠点や失敗には
まったく情け容赦ない無慈悲な人。

学会の大きな発表会に行くと
必ず1番前にフローリーがいたと。

双肩に鷲止まらせている感じの人。
ともかく天才ですから
周りを睥睨してる感じなんで。

恐ろしいから周辺には
誰も座っていない。

ある学会に行ったら
ちょうど真向かいの最前列に
フローリー。父は2列目で
フローリーのちょうど正面に

父に言わせれば
アーノルド・シュワルツェネガー
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そっくりな、

しかもひと回りはでかい
筋骨隆々の大男の
ドイツから発表に来た研究者がいて

運悪くその席で
発表することになった。

フローリーは腕組みして
目を見開いてじっと聞いていた。

発表が終わると
途端に矢のような質問。

哀れなドイツ人は
それにうまく答えられなかった。

殆んど
もう一度で直せ !ばかやろう!
みたいな言い方で。

ケチョンケチョンに
やられてしまった。

ドイツ人の学者が用意してきた
レジュメに

フローリーは大きなクリップを
くっつけると

I feel pity for you ! !

と言うや否や

ドイツ人の額向かって投げつけた。

満座の前で恥をかかされる
どころじゃないですよ。

そのシュワルツェネッガーを
でかくしたような男

父親が見ていたところによれば
全身の毛を逆立て
汗腺から汗が噴き出し
小刻みに震えながら
フローリー博士
睨みつけていたという。

父親も含めてその場にいた人
皆ちょっとマズイことになった
と思ったらしい。

会場でボディーチェックはなかった。
アメリカですから
拳銃を持っていたって
不思議ではない。

まして相手は人並み外れて
大柄で屈強なドイツ人です。

年齢からいって
確実に軍隊経験がある。

生きた心地がしなかったらしい。

あくる日も学会はあったので
父親がいってみると満席で

フローリー博士の隣しかない。

恐ろしいけどしょうがないから
そこに座った。

すると博士は
すぐ話しかけてきたらしい。

おまえ日本人だろ?

はいそうですが というと

よろしい日本人は計算が得意でな。
お前は数学得意だろ?

よくわかりませんが
人からはそう言われますが。

それでイインダヨ
学問というものはすべからく数学だ。

それをろくに勉強しないまま
学問なんかやるから
昨日のあの馬鹿野郎みたいな
やつができるんだ。

ところでお前植物に詳しいか?


父親はもともと生物学もやろうかと
思ってたぐらい得意だったんで
その話になった。

聞いてみると博士は

まぁたくさん大変な特許を
お持ちの方なので
大金持ちだったわけです。

カリフォルニアに
水平線の向こうまで
土地を持っていたという。

土地の中に川が流れて
鮭が上ってくるように
自分が放流したから
食いに来いという。

後で本当に食べに行ったそうです。

セコイヤの林を作っているという。

成長すれば100メートル近くに
なる木ですよ。

それから生物学の話になり

こうすれば人間は
137年生きられる
という話を
したという。

博士が上機嫌で帰っていくと
研究者仲間が一斉によってきた。

お前フローリーと
何を話ししたの?

いや生物の話しかしなかった。

その場

へぇー!で終わったそうです。

結局博士は目標の137年
生きることなく
85年に亡くなりました。

今日4月27日は
フローリーがジサツさせた?
師匠にして先輩の
カロザースの誕生日です。

この人は直接の発明者ではないが
合成ゴムにも関わっている。

アドルフ・ヒトラーは
第二次世界大戦を始めるにあたり

合成ゴムの完全自国生産が
できる日時を

1つのめどにしていた。

第二次世界大戦中の
ドイツの
戦闘機
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ティーガー戦車
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パンター戦車
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高分子化学の成果である
液化石炭で動いていた
ということ

あまり知られていません。

ドイツ側には
ルーマニアの油田ぐらいしか
なかったからなんで。

バクー油田とイラクの油田を
押えるがために始めたのが
ソ連との戦争でした。

液化石炭で動くような
エンジンでしたから

戦後アメリカをはじめ
占領軍が石油系燃料で使ったら

連合軍側の兵器とは
桁外れによく動いたらしい。

20世紀の戦争は
化学工業がやっていた。
ちなみにロシアも中国も
ちょっとその辺は遅れています。


いやはや、この話は冷や汗もんですな。

なんと私が阪大基礎工の物性理論の中村伝教授の研究室配属になった時、この教授がもっとも理想にしていた学者がこのポール・フローリーだったからだ。

なるほどこの中村伝教授も皆から恐れられていた。特に大学院生たちからもっとも恐れられた。なぜなら週一でやってくる研究経過の議論の際には、まわりの人間がみなどこかに消えてしまったからだ。

やっつけられる様を可愛そうで見ていられなかったからなのだ。

私はそんな研究室に5年もいたのだから、ご想像にお任せしたい。

まさにナチス・ドイツ型の教授のスタイルとはこんなものだったのかもしれないナアと思い起こさせてくれる話である。


いや〜〜、実に興味深いエピソードだった。

私はかねてからそういった家族からの個人的な体験や経験や観察の話をもっともっと書き残しておくべきだと思っている。別に自分の家族が著名人でも成功者でもなんでもなくても良い。

広島長崎の原爆体験したから昔の記憶を残す。

そういうのも1つだが、記憶というものは、そういうだけのものではないだろう。

ここ阿南ですら我が家の周辺でも私が徳島阿南に来た20年前とはすっかり変わっている。しかし、その記憶を持った人はどんどん人生を終了しつつある。同時に昔の記憶は失われるのだ。

その前にどんどんそういった昔はこうだった話を残すべきなのである。

俺はそう思う。

家族に語って残す。録音して残す。子や孫が聞いて残す。これが口伝である。

別に口伝は武内宿禰だけがやるべきものでもないだろう。

普通の人が自分の短い人生、たわいない人生でもそれを子や孫に口伝として残す。これで結構だと思う。

どんどんそういう話をするべきなのである。


いや〜〜、久しぶりに面白い話を知ったものである。

そのドイツ人はだれだったのか?

ところで、このフローリー的な人格が昔の東欧のユダヤ人インテリにある特有のものである。フローリーのご先祖もやはりそういう場出身とか。フォン・ノイマン、ポランニ、バラバシ、ソロシュなど旧ハンガリー出身者に多い。イーディッシュ語を話す。今で言うところの偽ユダヤ人(アシュケナージユダヤ人)特有のメンタルである。同情心やエンパシー(感情移入)に欠けるのである。我々も小中学生くらいまでにはそういう時代もあるが、そこから成長するのだが、そういうことがない人種である。だから超絶な知性を持った嫌な中学生みたいな大人に育つらしいナア。くわばら、くわばら。






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by kikidoblog2 | 2016-04-27 13:05 | 普通のサイエンス

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