有言実行3:「杉田元宜ー世間で知られていない日本人熱力学者」が完成!?杉田元宜博士よ、永遠なれ!
2016年 08月 26日
Live as if you were to die tomorrow. 明日、死ぬかのように生きろ。
Learn as if you were to live forever. 永遠に生きるがごとく学べ。
ーーマハトマ・ガンジー
マハトマ・ガンディーさんの名言・格言・英語 一覧リストより
みなさん、こんにちは。
今日はなんていう良い日なんだ。最高の気分である。
というのも、昨日ついにかのわが国が生んだ不世出の超天才、故杉田元宜博士の生前の普及名作的論文の数々における真髄を英語でまとめた論文がほぼ完成したからである。これである。
Kazumoto Iguchi,
Motoyosi Sugita — A "Widely Unknown" Japanese Thermodynamicist Who Explored the Fourth Law of Thermodynamics For Creation of the Theory of Life
ここでも何度かメモ
2016年 04月 22日 「杉田」の発見!:謎の天才理論物理学者「杉田元宜」博士の写真はどこだ?したように、私が杉田元宜博士の存在について知ったのはこの春先のことである。
2016年 05月 10日
「杉田元宜博士のご家族は何処に?」:「杉田の熱力学」は復刻可能か否か?
2016年 05月 16日杉田元宜著「物理学史」:「ファラデーが我が国に生まれたら番頭にビンタされたネ」
2016年 07月 15日「1970年」の杉田元宜博士の予想:「物理学者の異常発生」
2016年 08月 21日「新版 過渡的現象の熱力学」ついに登場!:60年余の歳月を経て甦った幻の物理学書!
ちょうどその頃私は保江邦夫博士の理論で理論武装して、それまでに存在する非平衡系の動力学理論を全部書き換えることを目指す論文を書き始めた。そしてそれを知人研究者の山田弘明博士に送ってみたところ、わが国にも昔同じ分野で良い研究をした方々はいる、それが以下の本にあると教えてもらったのだった。
不可逆過程の物理―日本統計物理学史から
この本に取り上げられた物理の研究は、かつてわが国に存在した「物性論研究」という日本語雑誌に載ったものである。
そこで、幸いにも今ではインターネットでこの物性論研究の全記事が無料ダウンロードできるので、それを使って、上の本で取り上げられた論文を全部目を通したのである。
その中に私の琴線をつまびくものがいた。それが杉田元宜博士だった。
そこで、今度はこの杉田元宜博士の研究だけにしぼり、そしてそれまでの自分の研究論文は一旦休止して、ことごとくこの杉田博士の論文集めに集中したのである。もちろん、アマゾンを通じて本も集めようとした。
ところが、この春までは、まったくアマゾンにも杉田元宜博士のすの字すらなかったのである。
あとは大学図書館から取り寄せるほかなかった。
そこで、私はこのブログに杉田博士のことをメモしたのである。それがこれだった。
2016年 04月 22日 「杉田」の発見!:謎の天才理論物理学者「杉田元宜」博士の写真はどこだ?
幸いにしてこれを偶然見ていた方が、埼玉の曹洞宗のお寺の方で、お寺に保存されていた本の中になんと杉田博士の本、それもすべて謹呈されたもの、つまり初版本があったのだが、それをたくさん送っていただけたのである。
そこで、杉田博士の貴重な本を一気に集めることが出来、また幸い小林理研時代の杉田博士のお書きになられた日本語文献も知人の一人から国会図書館経由で集めてもらったりして、徐々に完璧に近い形で杉田博士の1950年代までの文献が集まったのである。
後は、時間を掛けてただただ読みまくる。そして考え、まとめるだけ。
それを毎日毎日読んでは考えてまとめあげる。図は自分で作り直す。そうやって、少しずつ英語で書き溜めて来たものが、一番最初の英語論文である。
ところが、そうしている内に、どうしても杉田博士の一番の肝、つまり「過渡的現象の熱力学」これを復刻したいと思うようになった。
なぜならこれこそ杉田元宜博士の博士論文であり、その後の研究テーマを論じた不朽の名作だったからである。そこで、英語論文を書きながら、またこの1950年刊行の旧漢字体で書かれた実に読みにくいこの本を現代語に翻訳しながら文書を全部打ち込んだのである。
そうやってついにこの本の現代語版=新版が誕生した。
ところが、そうなるとこの本の著作権の所属が問題になる。一橋大学や出版先の岩波書店の担当者に電話して杉田博士のご家族がどこにいるのか聞いてもだれも知らない。
それも当然で、杉田元宜博士は1990年、ちょうど私がまだユタにいた頃85歳でご逝去されたのである。それから26年も経っているし、大学や出版社はもう杉田博士を知るものはだれもいない。本は66年前に出たものである。当時の担当者はみな死んでいるはずである。
というわけで、絶望的になっていたのだが、唯一多磨霊園に杉田博士のお墓があることだけがインターネットに載っていたのである。
そこで、これまた偶然だが、埼玉のお寺さんがお寺周りのネットワークでその多磨霊園からご親族探しを買って出てくれたのである。私はただ待つほかなかったのだが、1ヶ月ほどして見つかったという連絡が入った。
それが拙著序文にもあるHS様だった。杉田博士のカナダ出身の日系カナダ人の奥様、グレース栄さんのご親族だった。その方から、実は杉田夫妻には長男勇吉様が一人存在したが、その長男は山梨県北杜市居住だったが、残念ながら2012年8月にご逝去されたということを教えていただいたのである。
こうしてインターネットや杉田博士の本や教科書にある経歴や一橋大学の論文サイトにある経歴などが繋がり、一つの歴史ストリアが構築されたのである。
この杉田博士の歴史は最初の英語論文の一番最初のイントロに含めてある。
おそらく、わが国では、というより、全世界初公開であるに違いない。
このHS様から「過渡的現象の熱力学」他、杉田博士の著作の復刻やいただいた数枚の写真に対するご了承をいただき、その新版、およびこの英語論文を公開することができるようになったわけである。
ここに、HS様の心から感謝の意を表したい。また、親族探しをかって出ていただいたTN様にも心からの謝意を表したい。どうもありがとうございました。
というわけで、先日メモした以下の本が誕生したのである。
2016年 08月 21日「新版 過渡的現象の熱力学」ついに登場!:60年余の歳月を経て甦った幻の物理学書!
そうこうする内に、驚くべきことが起こった。アマゾンにだれも知るはずのなかった杉田元宜博士の古本がどんどん販売されるようになったのである。中には信じがたい高額の本まで出る始末だ。
今のところ、杉田元宜博士の研究の価値はこの俺しか知らなかったはずなのだが、あっという間に20ほどの販売サイトが出現した。それでも部数は限られている。なぜなら初版2000部程度しか最初から刊行されなかったからである。大半が絶版なのである。復刻も難しい。なぜなら著作権の迷子となっていたからである。
さて、こうして杉田元宜博士の普及の名作が復刻できると、あとは杉田博士のご研究の存在を英語圏に知らせなければならない。さもなくば、この偉大な、理論物理学者、それもかのノーベル化学賞を取ったラルス・オンサーガーやイリヤ・プリゴジンすら凌いだ天才理論物理学者である杉田元宜博士の凄さが欧米人には伝達できない。
そんなことを何の義務があって俺がせねばならないのか?
とは何度も思ったが、これも因果応報。最適制御の熱力学
有言実行:「最適制御過程における非平衡熱力学の理論:数学的定式化」が完成!?を構築した俺しかそれができる人間はいない。
有言実行2:「最適制御過程における非平衡熱力学の理論:最大原理の物理学的理解」が完成!?
とまあ、自分勝手に妄想を抱いて、日々杉田先生の論文をひも解き、少しずつ理解しては英語に直す。その度に杉田先生の日本語のニュアンスをどう伝えるかと苦闘する日々が続く。
こうして、一時に一事、されど完璧にというヒルベルトの鉄則に従って、毎日毎日焦ることなく、適当にリオ五輪や甲子園などを見ながら、とにかくわずかでも前へ前へとまるでDefTechのMy Wayのようにして前に進めることを続けていったのである。
そうやってあれほど杉田博士の膨大なる研究を1個の英語論文にまとめるなんてほぼ不可能ではないかと思っていたことが、なんと陽の目を見たわけだ。
しかし、この作業で一番得をしたのはやはりこの私自身である。実に得るところ大だった。杉田博士の成し得たこと、ついに成し得なかったこと、成し遂げようとしたこと、こういったことがすべて白日のもとに晒されたからである。
幸いに、というか、これも縁かも知れないが、私は最適制御の理論の熱力学への応用でどうしても欲しかった具体例、逆に杉田博士がやろうとしてついに出来なかった問題が、ちょうど杉田博士がやったことと私がやったことと裏腹の関係になり、お互いに補完できることが分かったからである。これで、ついに1つの大きな理論体系が完成したのである。
若者よ、これを読んでさらに先に進め!
そして、俺にその先を見せておくれ!
杉田元宜博士よ、永遠なれ!

by kikidoblog2 | 2016-08-26 09:11 | 普通のサイエンス