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日の“陰り”:我が国の物性研究のノーベル賞敗退の数々!?日はまた昇るか?   

みなさん、こんにちは。

さて、今回はちょっと個人的な物理学に関する思いつきの回想メモだから、普通の人はスルーして欲しい。


日本の日が陰った。“陰り”。

これが最近の「日本の半導体」産業の印象であろう。いまや三洋やシャープは跡形もなく、東芝、松下、三菱、日立、富士通、NECなど軒並み陰りが見え始めた。

これを象徴しているかのように、
(あ)あまり実用上ではそれほどでもなかった江崎ダイオードのノーベル賞。
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(い)その次は、ここ阿南発祥の青色発光ダイオードのノーベル賞。
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この2つを除き、我が国の戦後の礎を築いたはずの半導体科学でまったくノーベル賞を取れなかった。というより、取り損なった。というより、“意図的に排除された”感がある。

(う)古くは、赤色発光ダイオード(および黄色、緑まで)。これは東北大の西澤潤一博士が実用化したものだ。
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(え)その次は、近藤効果の旧電総研の近藤淳博士である。
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が、一向にノーベル賞からお呼びがかからない。

(お)その次は、1980年代初頭の整数量子ホール効果。このノーベル賞に関しては、最初の本当の第一発見者は学習院大学の川路紳治博士だった。
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それをすぐに理論家したのが、東大物性研の安藤恒也博士だった。
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が、結局、ドイツのフォン・クリッティング博士に持って行かれた。これについては世界中で川路博士や安藤博士のノーベル賞を期待したのである。

(か)その次は、その分数版の分数量子ホール効果。この理論がラフリン博士がノーベル賞取ったが、ちょうど私が大学院生時代にこの最初の論文が出たばかりの頃だった。

(き)そもそのこうした二次元系の半導体に特有の物理現象がどうして現れるようになったか?といえば、これは当時IBMのワトソン研究所にいた江崎玲於奈博士が発明したMBE(Molecular beam epitaxy, 分子線エピタキシー)という手法が発明開発されたからである。
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残念ながら、この結果として誕生した二次元電子系の結果の方が先にノーベル賞をとり、こういう素子を生み出す根本手法の発明者の江崎玲於奈博士は二個目のノーベル賞から離れた場所にいる。

しかしながら、このMBEなくして量子ホール効果もその後のトポロジカル絶縁体などもあり得ない。

(く)その次が、昨年のトポロジカルな物性の発見のノーベル賞である。これに対して、コステリッツ、サウレス、ハルデーンが受賞した。しかしながら、この問題では、甲元眞人博士
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の貢献があったればこそであった。

トポロジカル物質の理論において、境界条件のひねりを加えても物理的性質が変わらないという特性の発見は、一番最初に当時米ワシントン大学で、サウレスのポスドクだった、甲元博士が発見したことである。そして、サウレス、甲元、ナイチンゲール、デンナイスの4人組の論文として公表された。

その後、甲元博士がAnn of Physにレビューを書いて、そういう量子化は、物性で言うところの「逆格子空間」内のトポロジカルな粒子、すなわち一種のモノポールとして現れるということから理解されるという証明を行って初めて、物性理論にトポロジー的視点が加えられたのである。以後、これは古典となった。

この甲元博士もノーベル賞から弾かれた。

(け)さらには、高温超伝導の発見によるノーベル賞では、まだIBM欧州のべノーツ、ミュラーが自分たちの発見が正真正銘の高温超電導か判定できなかった頃、七宝焼の趣味を利用して自分で現物を作成してさらに高温の超電導物質を作り出した、東大の理論物理学者の氷上忍博士がいる。
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この氷上忍博士の論文が契機となり、アメリカのチューのグループがさらに高温超伝導体を見つけ、世界がフィーバーに走ったのである。結局、ノーベル賞は受賞者のミュラーとその弟子のべノーツだけの受賞になった。

トポロジカル物質の場合のように考えれば、当然、ミュラーと氷上とチューの受賞になるべきものであろう。べノーツに至っては共著者というだけのことである。

まあ、物理に関してだけをまとめたが、生物学、化学、経済学などにおいても似たようなものだろう。経済学のブラック・ショールズ理論の経済学賞受賞は、伊藤清博士が入るべきだったし、あまりにも不備が多すぎる。

まあ、アカデミー賞と同じで、要するに、世界各国に散らばってそれぞれの国の国民になりすました偽ユダヤ人のための賞だったということが一番の根底になるのである。

アカデミー賞も外国人の受賞というが、実は顔色は違うがユダヤ教信者だったという場合もあるわけである。我が国の芸能界で、カルトの創価学会員でなければ、日本アカデミー賞が受賞できないというのと似たようなものといえるだろう。


こうしてみると、世界の半導体産業の根底において、理論と実験、および制作と実践の双方において我が国の先達たちがいかに貢献してきたかがわかる。が、そういう世界貢献が正しく世界の人達に理解されていないように見える。

が、これはかつての政府自民党および日本の東大官僚の「自虐史観」「自信の欠如」などによる、キャンペーン不足が原因だったと言えるだろう。

金を手渡す必要はないだろうが、東京五輪の「おもてなし」のように正当に適度に華麗でかっこよくキャンペーンしないかぎり、世界の外人さんたちは理解しないのである。「言わなければ理解しない」。これが外人の精神レベルである。

もし日本政府がもっと日本の学者の側に立ち、後ろから支援していたなら、遥かに多くのノーベル賞を授賞してきたに違いない。


後の祭り。

まあ、いずれにしても、上のような方々は、現世で無視されたには違いないが、あの世ではきっと良き天国に行けることは間違いないだろう。

最後に、参考までにこれを付けておこう。
Workshop on Low-Dimensional Quantum Field  Theory and its Applications



いやはや、世も末ですナ。




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by kikidoblog2 | 2017-02-28 10:52 | 普通のサイエンス

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