ノーベル物理学賞に最も近い日本人:ハイゼンベルグの不確定性原理を超えた「小沢の不等式」
2017年 10月 08日
最近は気がついたときにメモしておかないとすぐに忘れてしまったり、他のことに気をとられてしまうから、忘れにないうちにここにメモしておこう。
今回のノーベル物理学賞はアメリカの重力波検出装置LIGOを作り出したリーダー3人に与えられた。
のべ1000人以上の関与がある大プロジェクトだから、予算も人件費も大きく、ノーベル賞を取らなければ引っ込みがつかない。反対派から銃殺されかねない。そういうものだった。
ところが、実はこのプロジェクトの実現にあたり、たった一人の日本人の極めて重大な関与があったという。
それは、ひょっとしたら岡潔博士以来の天才かも知れない数学者の小沢正直博士である。これに関してメモしておこう。
この小沢博士の業績やその歴史的変遷に関して短くかつ比較的正直な記事があった。以下のものである。
(あ)産経の記事
ノーベル賞「重力波」に陰の立役者 名大・小澤正直特任教授、物理学の定説覆す理論で貢献
今年のノーベル物理学賞の受賞研究となった重力波の検出。米国の観測施設「LIGO(ライゴ)」チームによる歴史的な偉業を理論面で支えたのは、数学者で名古屋大特任教授の小澤正直氏(67)だった。
重力波の直接観測は、アインシュタインが残した「最後の宿題」といわれる。小澤氏は1980年代に当時の物理学界の「定説」を覆し、宿題の解き方を理論的に示した。
アインシュタインの一般相対性理論では、質量がある物体が存在すると時空のゆがみが生じ、物体が運動すると時空のゆがみはさざ波のように、光速で宇宙空間を伝わっていく。
ただし、遠い宇宙から地球に届くさざ波はとてつもなく小さく、地球と太陽の距離に対して水素原子1個分ほどのかすかな変化を捉えなければならない。
LIGOチームは、ブラックホールの合体によって13億年前に発生した重力波の検出に成功したと、昨年2月に発表した。レーザーの干渉を利用してかすかな距離の変化を検出する巨大な観測装置が、ついに時空のさざ波を捉えたのだ。
数学者である小澤氏による理論的な裏付けがなければ、重力波の直接観測は大きく遅れただろう。30年ほど時を遡(さかのぼ)る。
80年代半ばまで、ドイツの物理学者ハイゼンベルクが提唱した量子力学の「不確定性原理」から導かれる観測精度の限界(標準量子限界)があると信じられていた。LIGOが採用した干渉計型の装置では重力波観測は不可能だとする考えが、当時の物理学界の圧倒的主流だった。
「その問題は、すでに私が解決済みだ」
86年、東京で開催された国際会議で小澤氏は手を挙げた。「干渉計型でも観測精度の限界を破る方法があるはずだ」と主張する米国の研究者の講演後のことだ。
(以下省略)
(い)日経サイエンスの記事
物理学の常識に挑む数学者 小澤正直
「ハイゼンベルクの不確定性原理は,破ることができる」。数学者,小澤正直は,80年間に亘って信じられてきた現代物理学の基本中の基本を静かに,だがきっぱりと否定する。
1927年にウェルナー・ハイゼンベルクが提唱した不確定性原理は,新たな世界観を打ち立てた。観測という行為は,見られる側の状態を決定的に変えてしまう。だから物体の状態を完全に知るのは不可能で,見る前の状態は本質的に不確定だとの見方だ。ハイゼンベルクはこの新たな世界観を美しい式で表した。「物体の位置の測定誤差と測定で生じる運動量の乱れの積が,常に一定の値以上になる」という式である。物理の教科書の最初に載っているこの式の意味は「位置の測定誤差をゼロにしようとすると,運動量の乱れが最大になる。だから誤差ゼロの測定はできない」ということだと,学生たちは教わる。
だが小澤は,ハイゼンベルクの式には重大な見落としがあるという。観測される側の物体がもともと備えている量子ゆらぎと,観測によって物体の状態に生じる乱れを混同しているのだ。両者をきちんと分けて考えれば,ハイゼンベルクが見落とした可能性が見えてくる。測定される物体の状態と,測定誤差や測定によって物体に生じる乱れとの間に相関があるような測定なら,「誤差ゼロ」の測定も可能になるのだ。ハイゼンベルクの式は,あらゆる観測について常に成り立つ式ではない。
小澤はハイゼンベルクの式を修正し,どんな測定でも成り立つ一般式に書き直した。ハイゼンベルクの元の式に,測定する側とされる側との関係を表す2つの項を付け加えたものだ。測定誤差がゼロでも,ほかの2項の値をうまく選べば不等式を満たすことができ,誤差のゼロの観測が実現できる。
小澤の提唱は当初ほとんど注目されなかったが,次第に風向きが変わり始めた。きっかけは量子情報科学の進展だ。量子力学の不確定性を活用した未来技術である量子コンピューターや量子暗号通信は,観測によって素子やデータの状態が変わることが,目的の計算や通信を行う上で重要な意味を持つ。その研究には,測定の限界を厳密な形で与える式が欠かせない。小澤のもとには,小澤の式を実験で検証したいという実験家が連絡してくるようになり,招待講演の依頼も舞いこむようになった。「我々は今まで,不確定性原理を本当の意味で理解していなかったようだ」と物理学者の細谷曉夫は瞠目する。
将来,量子情報科学がどんな物理学教科書にも普通に載る日が来るかもしれない。その時最初のページには,ハイゼンベルクではなく小澤の不確定性原理の一般式が記されているはずだ。
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ハイゼンベルクの不確定性原理を破った! 小澤の不等式を実験実証
「小澤の不等式」。数学者の小澤正直・名古屋大学教授が2003年に提唱した,ハイゼンベルクの不確定性原理を修正する式です。小澤教授は30年近くにわたって「ハイゼンベルクの不確定性原理を破る測定は可能」と主張し続けてきましたが,このたびついに,ウィーン工科大学の長谷川祐司准教授のグループによる実験で実証されました。15日(英国時間)付のNature Physics電子版に掲載されます。
小澤の式とはどんなものでしょうか? まず,物理の教科書をおさらいすると,1927年にハイゼンベルクが提唱した不確定性原理の式は,こんな形をしています。
ε(q)η(p) ≧ h/4π (hはプランク定数,最後の文字は円周率のパイ)
ε(q)は測定する物体の位置の誤差,η(p)は位置を測定したことによって物体の運動量に生じる乱れです。もし位置が誤差ゼロで測定できたら運動量の乱れは無限大になり,測定してもめちゃくちゃな値がランダムに出てくるだけです。だから位置と運動量をともに厳密に決める測定はできないと,これまでずっと物理の学生は教わってきました。
現代物理学の基本中の基本とも言えるこの式に,小澤教授は1980年代から異を唱えてきました。2003年にはハイゼンベルクの式を修正する「小澤の不等式」を提唱しました。こんな式です。
ε(q)η(p) + σ(q)η(p) + σ(p)ε(q) ≧ h/4π
ハイゼンベルクの式から,項が2つ増えてます。新たに出てきたσ(q),σ(p)というのは,それぞれ物体の位置と運動量が,測定前にもともと持っていた量子ゆらぎです。ハイゼンベルクは不確定性原理を考える際,この量子ゆらぎと測定による誤差や乱れを混同した形跡がありますが,量子ゆらぎというのはもともと物体に備わっている性質で,測定とは関係なく決まります。小澤教授はこれを厳密に区別した上で観測の理論を構築し,新たな不確定性の式を導きました。
小澤の式はハイゼンベルクの式と違って,ε(q)やη(p)がゼロになっても,σ(q)やσ(p)が無限大であれば成立します(量子ゆらぎが無限大になっても測定はできます)。つまり誤差ゼロの測定が実現できるのです。量子もつれになった2つの粒子ならそうした測定が可能であることも,理論的に示唆されました。
(以下省略)
(う)文科大臣賞受賞の紹介文
小澤正直氏の受賞に寄せて
東京工業大学大学院理工学研究科 細谷 暁夫
このたび, 小澤正直氏が平成22年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞 (研究部門)を受賞されたことは, まことに喜ばしいことです.本賞は,「我が国の科学 技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究または発明を行った個人またはグ ループに対して授与される賞です. 私自身は物理学者ですが, 小澤氏のされたお仕事の成果の恩恵を受けている立場で, このたびの受賞をご紹介申し上げます.
今回の受賞の対象となった小澤氏の業績は, 「量子測定理論の先駆的研究」によるも のです. 今日活発に研究されている量子情報理論の基礎には小澤氏が世界に先駆けて 確立した量子的測定理論があり, 多くの標準的教科書が採用しています.
(以下省略)
(え)小沢博士による日本語解説
量子情報の数学的基礎
(お)柳瀬睦夫博士のこと
ところで、上の解説にある
[50] M. M. Yanase, Optimal measuring apparatus, Phys. Rev., 123 (1961), 666–668.
のYanase博士とは、ここでは何度も出てくる保江邦夫博士の知り合いだった柳瀬睦夫博士のことである。
科学と宗教を極めた物理学者柳瀬陸男博士が言った:「魂は時間と空間を越えられる」
人間は生きているかぎり時間と空間に閉じこめられている。
ただ、魂は時間と空間を越えられる
「神は弱き者を助ける」から「第三次世界大戦はエイリアンの代理戦争である」まで
このように、神学者、宗教家、理論物理学者でもあった柳瀬睦夫博士は、人は死なない。人は死んだほうがむしろ自由になるというようなことをしばしば言っていたという。
情報理論の発展とともに、なんとなく、情報と制御の関連から、物質的世界ではない、情報の世界の実在性が彷彿される時代になってきた。
うまく情報制御できれば、ハイゼンベルグの不確定性定理も超えることができる。
すなわち、物質世界の制限を精神世界である情報の力、言い換えれば、魂の力で制御可能である。
どことなくそんなことを言っているように聞こえるから不思議である。
物質世界が作り上げた情報世界は、その物質が失われても残る。
これって、物質にとっての死後の世界だよナ。物質の情報=物質の魂は永遠である。
とまあ、そういうことを考えさせてくれる大発見なのである。
岡潔博士もそういうことを晩年には繰り返し言っていたし、柳瀬睦夫博士も言っていた。むろん、保江邦夫博士も言っている。ちなみに、情報理論家の苫米地英人博士も似たようなことを言っている。
まあ、いずれにせよ、量子物理学を生み出しノーベル物理学賞受賞したハイゼンベルグの「不確定性原理」の誤りを発見し、それを拡張した「小沢の不等式」を生み出し、それによって量子情報理論やLIGOの完成に導いたという意味では、この小沢正直博士はノーベル物理学賞に最も近い日本人物理学者であるということができるだろう。
名は体を表す
というが、名前が正直なんだから、まさに偉大な数学者にピッタリの名前である。証明は正直に行わなければならないからだ。
来年のノーベル物理学賞は、たぶんこの小沢正直さんではなかろうか?→俺の予想!
しかし、この数学理論はかなり難しいものですナ。
頑張れ日本。
いやはや、世も末ですナ。

by kikidoblog2 | 2017-10-08 13:01 | 普通のサイエンス