「新一の『心の一票』」:数学者望月新一先生のブログ発見!2
2017年 12月 18日
次のこのエッセイも面白い。
報道の質と「研究する姿勢」の意味
日本の報道機関や政府の情報収集能力について(日本国内の)評論家のインタビュー記事等で「欧米と比べて幼稚で稚拙」といったような厳しい意見を目にすることが多いですが、(本ブログ)2017-01-04付けの記事で言及した「ビットコイン」や「ニューヨークで育つ」のような事例について少し見方を変えれば、次のような捉え方もできるのではないでしょうか:(合計で)18年間も米国国内に在住し、かつ如何なる隠蔽工作も行なわずに普通の市民生活を送っていた人間についてすら
・「そもそも米国のどこに住んでいたか」、
あるいは
・「どのような分野で活躍するのに必要な
専門知識や資格を持っているか」
といったような、
極めて基本的な情報を収集する能力が
如何に米国の報道機関や知識人に本質
的に欠如しているか、
その報道機関の関係者や知識人が自ら進んで
「動かぬ証拠」をネット上で量産する
「精一杯の努力」
を行なっていたことになります。
そういう意味では、トランプ氏の当選の可能性に関する報道 ― これは「現実逃避部門」においては歴史に残る一種の「不朽の傑作」だと思いますが ― と構図がかなり似ているようにも感じます。
別の言い方をすると、如何なる隠蔽工作も行なわずに(合計で)18年間、米国国内で普通の市民生活を送っていた人間に関する上記のような情報すら収集する「難易度」が高過ぎるという実態があるのであれば、米国と敵対している様々な外国政府やテロ組織(=つまり、様々な機密情報についてプロが徹底して隠蔽工作を行なっているような組織)に関する正確な情報を本当に収集できているのだろうか、甚だ疑問に感じます。
米国のエリートたちが世界全体にどれだけ多大な影響を及ぼす力を持っているかということを考えると、上記のような「現実逃避癖」の事例は最早「幼稚、稚拙」を通り越して、人類にとって(冗談で済まされるレベルの事象ではなく)深刻な「安全保障上の脅威」であるようにも感じます。実際、(私は決して中東問題の専門家ではありませんが、様々な報道から受けている印象では)中東での米国の様々な軍事行動の際、何らかの「善意」と「誠意」をもって実行しているつもりの作戦でも、無数の事実誤認や誤解・曲解等によって誤爆等、テロの温床を更に大幅に「温める」ような方向性の行動が多発しているのではないでしょうか。
私個人の話に戻りますと、私の研究に対する欧米の多くの数学者の非建設的と言わざるを得ない反応も上の様々な非数学的な事例と、ある意味では同じ系統の問題のようにも感じます。この問題ついては、私の2014年12月の報告書、フェセンコ氏の解説論文の最後の節辺り、それから私の解説論文の最後の節辺り等で詳しく論じています。簡単に要約すると、上の非数学的な事例と私の研究関連の事例の一つの核心的な共通項として挙げられるのは次のような状況です:
ネットの普及が大いに影響している面がある
と思われるが、世界中の多くの人は世の中の
全てのことについて「満額回答がワンクリッ
クで瞬時に手に入る」ことを要求したくなる
「ワンクリック症候群」
のような症状を発症していて、謙虚な姿勢で、
虚心坦懐に、よく分からない事象について時間
を掛けて粘り強く勉強し、研究することの価値
や重要性を見失ってしまっている。
2014年12月の報告書でも指摘しているように、このように謙虚に基礎研究をする姿勢の社会的な意義や価値は一般社会においてのみならず、数学界の中でも忘れ去られ掛けているように感じます。
以上の話について次のような纏め方もできるのではないでしょうか:中東での惨事等を受けて、世界中のイスラム教徒に対してジハードを呼び掛ける声が上がったりしますが、それに対して私は
世界中の真実を愛する人たちに対して、(時間
を掛けて謙虚な姿勢で粘り強く行なう)研究を
呼び掛ける存在でありたいと思います。別の言い方をすれば、長期にわたって謙虚な姿勢で様々な個人的犠牲を強いられながらも粘り強く続行する研究こそ、「真の聖戦」ではないでしょうか。
我が国のNHKなど有名報道機関を自称する、メディアは、この情報収集能力を失い、ファルスニュースを捏造している米国報道機関の
下請け
になっている。情報の垂れ流しである。
だから、トランプ政権の側近から
「NHKはフェイクニュースの日本のCNNだ」
といわれるわけである。
フェイクニュース「NHKも」名指し バノン米元首席戦略官、会見で批判「日本のCNNに違いない」
私がかつて「AERA」に出た当時、まだできたばかりのインターネットの2chで相当に書き立てられたものだった。
まだ一般人はネットなどその存在すら知らず、携帯電話もない時代だったから、書いているのは大学人だった。それも若手。
それでも誹謗中傷はひどかった。東北大学の数学科の掲示板が一番ひどかったが、さすがに望月新一さんはアメリカ生活が永く、仕事と個人の区別が明確である。公私混同はしない。
あれから20年。
いまでは猫も杓子もだれでもスマホでインターネットに書き込める時代になった。
だれしも一度、自分に対する誹謗中傷のような書き込みを読むと、だいたいその連中の取材能力のレベルが分かる。
ましてや一流の報道メディアがこれではどうしようもないわけである。
我が国のマスメディアが天の声として神様のようにして聞いている欧米メディアがもはやメディアの役をしていないわけだ。
そういうことを望月新一博士は自分への取材に関係して実感したわけである。
最後の部分も心強い。
「中東での惨事等を受けて、世界中のイスラム教徒に対してジハードを呼び掛ける声が上がったりしますが、それに対して私は
世界中の真実を愛する人たちに対して、(時間
を掛けて謙虚な姿勢で粘り強く行なう)研究を
呼び掛ける存在でありたいと思います。別の言い方をすれば、長期にわたって謙虚な姿勢で様々な個人的犠牲を強いられながらも粘り強く続行する研究こそ、「真の聖戦」ではないでしょうか。」
すばらしい。
グロタンディークもそうだったが、岡潔もそうだったが、この望月新一博士もそうで、彼ら数学者という人種は権威をなんとも思わない。権力にまっこうからその頭脳で対抗する、こういう人が少なからず出てくる。
すぐに金持ちや権力者に迎合する物理学者とは違う。
長くなったので、他の記事はまた別の機会ということにして、オレ個人はかの美女由美かおるさんと数学者の秋山仁博士と結婚したように、
ぜひ望月新一博士は、新垣結衣さんと結婚してほしい。
まあ、エルディッシュ数の大数学者ポール・エルデッシュは、「結婚したら数学者として終わりだ」といって、生涯独身を貫いた。
まあ、数学者ではないスピルバーグには2回結婚して7人もの子供がいるらしい。だから、ユダヤ人の罠というわけではないだろうが、優秀な数学者の遺伝子はなかなか遺伝しないのである。
これに対して、20世紀の科学技術を作った、かのノーバート・ウィーナーは、「数学者の遺伝」をこういった。
数学者の遺伝には奇妙な傾向がある。
優秀な数学者の娘に優秀な数学者が婿入りするのである。
つまり、
「数学者が実の息子に遺伝するというのではなく、優秀な娘の配偶者として、義理の息子を得るという形で、自分の数学的才能が遺伝する」と考えたのである。
いやはや、世も末ですナ。

by kikidoblog2 | 2017-12-18 14:42 | 望月新一・心の「一票」