「天才を育てた女房」:223ついに岡潔がドラマになる!?→奥さんから見た岡潔だって!?
2018年 02月 04日
西洋では科学者や数学者を題材にした伝記映画や伝記ドラマを放送するのは結構多い。
ジョン・ナッシュの「ビューティフル・マインド」。
ナッシュ均衡論の創始者である。
A Beautiful Mind full movie in hd 1080
リチャード・ファインマンの「インフィニティ」。
朝永振一郎、リチャード・ファインマン、ジュリアン・シュウィンガーでノーベル賞の量子電気力学のファインマンである。
Infinity Trailer 1996
インド人の天才数学者ラマヌジャンの「奇蹟がくれた数式」。
ラマヌジャン「奇蹟がくれた数式」:俺には「奇蹟」まだ一度も訪れていない!ヘッドのしすぎか?
我が国では科学者の映画は地味になりがちなので、あまりテレビや映画では敬遠されてきた感がある。
しかしながら、ついに今春、2月23日金曜日に
あの岡潔博士がドラマ化され放映予定だとか。必見!
といっても、世界初の全身麻酔発明の「華岡青洲の妻」のように、妻の方から見た岡潔である。
以下のものである。
天才を育てた女房
キャスト
天海祐希、数学者・岡潔の生涯をドラマ化で主演 佐々木蔵之介と11年ぶりの夫婦役
まあ、本当のことをいうと、
天才は育てられるものではない。
天才は生まれ落ちるものである。
だから、もちろん岡潔の奥さんが天才岡潔を育てたはずではない。しかし、岡潔と人生を共にした。
そこがすばらしい。
いずれにせよ、大分前に私がここで以下のようにメモしたことが成就してよかった、よかった。
大学図書館の「除籍処分の嵐」:みすず書房の「わが師・わが友」まで除籍だった!?
おまけ:
数学者の秋月康夫博士の一番最初の書き出しの節が「数学と岡君」であった。むろん、「岡君」とは岡潔博士のことである。
まず数学に行こうかどこに進もうか迷っていた頃、自分にも数学ができるかと秀才岡潔のところに聞きに行くと「まあ、やってみろよ」と励まされたという。それで数学者に順調に育った。その頃の学生に湯川秀樹とか朝永振一郎がいた。
戦時中の栄養不良から戦後病気になり、その療養生活でもはや数学はもう無理だと田畑を耕して百姓の真似事をしていると、奈良の山奥に引きこもったはずの岡潔が最近やっと仕上げたばかりの世紀の数学の大論文「不定域イデアルの概念(層の概念)」を持って突然やってきた。先祖の田畑を切り売りしながら数学に没頭していたが、もう金が尽きそうだからどこかに職をくれと相談に来たという。しかし、その頃は秋月博士の方も数学の自信を失っていたので、自分の姿を見て岡が言った
「数学をやれよ、もう一度やれよ。きっとやれるよ。一緒にやろうよ」
と励ましてくれたのである。
そして、食事療養で健康を回復し、自信がついてきた頃、ついに京大教授として雇われた。そしてその時に井草準一博士を招聘したという。この井草博士こそ「東大ノート」の先達であった。その見事なノートは比類を見ないという。そしてここから我が国の現代的な代数幾何学が誕生していった。
要するに、岡潔は自分もすごかったが、仲間にも優しく励まし、朝永湯川ばかりか、我が国の現代の代数幾何の生みの親でもあったわけだ。
岡潔がなければ、秋月もない。秋月がなければ、井草もない。井草もなければ、京都の松阪、永田、中野、西、小泉、松村、広中もない。また、東大の玉河、佐竹、志村、谷山、久我、名大の森川もなかったという。
この谷山や志村がいなければ、もちろんワイルズのフェルマー予想の解決もない。
つまり、岡潔がいなかったら、いまだにフェルマー予想は解けていなかったかもしれないのである。
この岡潔と秋月の話はだれかに小説にしてほしいナア。ドラマでもいいが。こういう良いドラマを映像にこそ残すべきなのだ。AKB48が何しようが世界にはまったく影響しない。
まあ、こういった話は当事者が書いたものだからこそ残る。それを若者が読んでこそなのである。そういうものを捨ててしまう。気が狂っているナ。
まあ、晩年の道元や松尾芭蕉の境地に進んだスピリチュアルの先人としての岡潔については、第二弾、第三弾が必要なのかもしれませんナ。
いつも小さな赤い服の金星人の女の子と夜空を眺めて話し合ったとか、
道元が弟子を連れて迎えに来たとか、
岡潔博士は真に謎めいた大数学者だった。
参考までに高知の横山賢二さんのサイトもメモしておこう。以下のものである。
数学者 岡潔思想研究会
はたしてどういう感じのドラマなのか?
乞うご期待。
それにしても我が国の日本人科学者や数学者にも非常にユニークな保江邦夫博士のような人たちもたくさんいる。
日本は合気道や柔道の創始者もいたし、スポーツでもたくさんそういうユニークなオリジナルがいた。
ちょっとだけしかドラマや映画にならないというのも、困ったものではある。
いやはや、世も末ですナ。

by kikidoblog2 | 2018-02-04 10:44 | 岡潔・数学・情緒