ジョン・フォン・ノイマンの「自己増殖オートマトンの理論」:天才は常に未来を正確に予見している!   

みなさん、こんにちは。

さて、最近かの天才数学者、ジョン・フォン・ノイマン
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自己増殖オートマトンの理論
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という本を読み始めている。

幸い、ここ阿南の阿南高専の図書館にこの本の初版本が廃棄されずに眠っていたからだが、全部コピーして手元においていた。

かつてからフォン・ノイマンが晩年に考えたといわれる「自己増殖オートマトンの理論」、これがどんなものであったかを知りたいのである。

この本は日本のコンピュータの創始者高橋秀俊博士が翻訳した。

まあ、ここでこうした著書に関して私がこれまで拙ブログで主張してきたことをメモしておこう。

(1)古典本はいくら古くても廃棄するな!
(2)大学教授や研究者は、海外の古典を古い新しいを問わず翻訳せよ!
(3)政府は古い本の版権を自動消滅させよ!


とまあ、こういう3点である。

(1)は、大学の図書館は大学しかない財産、それも国費で苦労して買ったものを身勝手に廃棄するなということである。

(2)は、大学教授たるもの、あるいは専門家たるもの、その人生において自分の専門分野の古典を最低1冊は日本語に翻訳しろということである。

(3)は、欧米の版権=著作権は著者の死後70年生きる。我が国では、死後50年生きる。したがって、何十年も前に著者が死んだとしてもその著書の版権はまだ生きている。だから、その間古書の版権は「幽霊」あるいは「著作権の迷子」になる。

だから、いくら良い本で今見直されるべき本でも著作権の最終保持者を見つけることが非常に困難になり、本を復刻できない。

そこで、アメリカは1970年以前の古書、古典科学者の著作権をすべて自動消滅させ、出版社が必要であれば、再度新しく著作権を申請する方式の法案を通した。

結果、著作権のあるなしにかかわらず、著作権が失効するから、復刻本を作りやすくなった。

我が国もこれに追随し、1970年か、1980年あたりからそれ以前の著作権を自動消滅させるべきなのである。出版社が必要であれば、再度新しく著作権を申請する方式に変える。

とまあ、こんな理由であった。


ノイマンの本の話に戻ると、このジョン・フォン・ノイマンとノーバート・ウィーナーは20世紀の天才数学者の双璧といわれる。

ルーツはともに東欧のハンガリー帝国の時代のユダヤ人ということになる。

ウィーナー
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(保江先生によれば、ウィンナーが原音に近い発音らしいが)、父親のレオ・ウィーナーの代でアメリカに移民した。レオはハーバード大のユダヤ系教授の第一号になった。ちょうど100年ほど前である。いまでは、70%がユダヤ系である。

また、レオとノーバートは、第二次世界大戦の戦前戦中戦後を通じて、ユダヤ系学者がアメリカに移民する手助けをした。プリンストン大学にアインシュタインのための高等研究所を作る手助けをしたのもノーバート・ウィーナーであった。

いまは、その時代のユダヤ人学者のアメリカ人教授の4,5代目の世代が全米の大学の教授になっているだろう。

さて、ウィーナーは今流行りの人工知能AIの文字通りの創始者だった。そもそもAIはウィーナーが創始した
サイバネティックス
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の一部でしかなかった。

だから、サイバネティックスによりMITがいわゆるハイテクのMITになったのはノーバート・ウィーナーがいたからだったが、そのウィーナーが若手のミンスキー
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をMITに引き入れた。

しかし、ウィーナーはユダヤ人独特の反権威主義、自然的な共産主義的嗜好などから、米当局に問題視され、AI研究やサイバネティックスの研究から排除されてしまったのである。

この点でテスラやアインシュタインと似たところがある。

テスラは電波技術や発電技術の創始者だったが、第一次世界大戦で現場から排除された。
アインシュタインは原爆開発の提言者の1人だったが、第二次世界大戦で現場から排除された。
ウィーナーはサイバネティックスやコンピュータやAIの創始者だったが、サイバネティックス研究から排除された。

MITでウィーナーのサイバネティックスのグループに対する研究費が0になった時、それに代わってお金を一身に集めたのが、ミンスキーであった。独り占め状態。

これが人工知能グループのミンスキー学派が誕生したきっかけである。

ここから、フラクタル、カオス、AI、複雑系理論、ネットワーク理論、。。。と電子計算機を使う分野が花開いたわけである。


かたやフォン・ノイマンは戦時中、MITではウィーナーの同僚だったヴァネヴァー・ブッシュが軍産複合体のトップについた。反権力で民主主義的で共産思想のあるウィーナーよりは使いやすいもうひとりの天才数学者のフォン・ノイマンを引き入れた。

上に物理学者のロバート・オッペンハイマーを頂いて、協力者にフォン・ノイマンを置いた。
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ここで電子計算機が開発され、より実用化し、それを戦争終盤には大活用し、ハンス・ベーテとリチャード・ファインマンなどを擁し、ロスアラモスで原爆開発に「成功した」。

そして、ついにヒロシマ・ナガサキに落とされてしまった。


まあ、非常に簡単に一言で言えば、第二次世界大戦以降の世界の科学技術の趨勢を決めたのが、ノーバート・ウィーナーとジョン・フォン・ノイマンの二人だったわけである。

そんなわけで、科学者たるもの、今現在を決定づけたこの二大巨匠の本は絶対読まなければならない。

ウィーナーのサイバネティックスとフォン・ノイマンの自己増殖オートマトンである。


そんなわけで、いま自己増殖オートマトンを少しずつ読んでいるというわけである。

サイバネティックスは一応目を通し、ウィーナーの他の著書もそれなりに読んだから、ある程度はウィーナーの思想の一部は理解できた。しかし、ウィーナーにはたくさんのすぐれた数学著書があるから、そういうものを全部理解して読むのはかなりの時間がかかる。また、若い時代の早熟の天才の時代ほど本や論文が多い。

一方、フォン・ノイマンのこの自己増殖オートマトンは晩年の研究で、多くは未完成であった。もしフォン・ノイマンはオートマトンの完全理論とか絶対理論とかそういうものを完成していたとすれば、もう生物学の根本は終了していただろう。

しかしながら、このフォン・ノイマンですら生命体の理論は完成できなかった。


自己増殖オートマトンは必読の書だとかつて翻訳者の東大の高橋秀俊先生は言っておられた。私もこの言葉をどこかで読んだからこうして読み始めたのだが、フォン・ノイマンのこの本はノーバート・ウィーナーのサイバネティックスと同じく、

1947年頃

に書かれた本である。

1947年とといえば、あのロズウェル事件の年である。ちょうど70年ほど前。


その時代に、サイバネティックスやAIやコンピュータや自己増殖オートマトンをアメリカの科学者たちが考えていたのである。


ウィーナーのサイバネティックスを読むと、その本の中でウィーナーが世界はこうなるだろうという予測が書かれている。

同様に、フォン・ノイマンの自己増殖オートマトンにも将来の予測がたくさん書かれている。

電子計算機が早くなればなるほど何が計算できるか何に貢献できるかそういう現実的予測が書かれていた。

なんと当時のロスアラモスの世界初のコンピュータのクロックサイクルはたったの毎秒1Mフロップスだった。

真空管で20000本。今で言えば、トランジスターがたったの20000個の回路に匹敵。

それがいまでは、京で毎秒1テラフロップス=10^12フロップス=1京フロップスである。

フォン・ノイマンは、将来コンピュータが高速化すればするほど、物理の難問である流体力学のナビエ・ストークス方程式の計算ができるようになり、非常に大きな貢献ができるはずだと予測している。

いまでは、京により、地球規模の気象シミュレーションが行われている。


1940年代の古書古典を読むと、こうした当時の予測と今の現実との比較という、実に興味深い面白さがある。

いずれにせよ、現実がウィーナーとフォン・ノイマンの予測通りだったかなかったかが理解できるのである。

フォン・ノイマンは1940年代にこういった。

「乱流の問題は60年の懸案であり、これを解析的に解く方法の進展はごくわずかである」

「原子分子の波動関数の量子力学的な化学計算にも絶大な威力を発揮するはずである」

前者はミレニアム問題としてまだ残り、後者はすでにノーベル化学賞が授与された。


こういうノーベル賞級のテーマがごろごろ考察されているのが、フォン・ノイマンの自己増殖オートマトンの理論という本なのである。

こんな本でも我が国では著作権問題があって再版復刻がなかなかできないのである。
これが出版不況の根本的原因だと私は信じている。著作権法改正あるのみ


いやはや、世も末ですナ。





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by kikidoblog2 | 2018-05-25 10:11 | 普通のサイエンス

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