2018年ノーベル物理学賞番外編:「光ピンセット」から「3次元的に操作できる電磁波浮揚技術」へ!?
2018年 10月 03日
さて、昨夜のノーベル物理学賞は、光ピンセットと極超短レーザーパルスの開発者という光学分野へ授与されたようだ。
科学未来館の解説員によると、ノーベル物理学賞には、
素粒子宇宙論→光学→量子物性→素粒子宇宙論→光学→量子物性→.....
というサイクルがあるという。
ノーベル物理学賞の歴代受賞者のリストを眺めれば、確かにそんなサイクルがあるようにもみえる。
したがって、一昨年は量子物性、昨年は素粒子宇宙論と来たから、今年は光学であろうと予想していたら、やっぱり光学分野であった。
この意味では、予想通りの結果であった。
光ピンセット

の開発と生体システムへの応用 に1人。
超高出力・超短パルス

しかしながら、この技術は化学や生物にも応用されたり、すでにフェムト秒パルス装置とか、生物化学分野のノーベル賞受賞というように、かなり被っている感じがしますナ。
俺は、また全く同じ内容でノーべル賞が来たかと思ったゾ。
フェムト秒化学
1999年に、アハメッド・ズウェイルはこの分野における先駆的な研究でノーベル化学賞を受賞した。ズウェイルの用いた技術では、数フェムト秒程度の超短パルスレーザーを用いる
日本人が同じ分野で4人目になった場合、見事にスルーされることが多いが、外人さんの場合は、こうしてなにがしかの理由をくっつけて再受賞という場合が多い。
アハメッド・ズウェイル

それよりは、光学分野のもっと別のテーマでノーベル物理学賞を与えた方が良かったのではないか?
また、光ピンセットも、すでに似たような技術に対してノーベル物理学賞が与えられていたのではないか?
1997年の「レーザー光を用いて原子を冷却[55]および捕捉[56]する手法の開発」のノーベル物理学賞などはかなり今回のものに被っている。
こうしてみると、物理学はできた古い順に、
古典論:宇宙論、光学、力学、流体力学、弾性体力学、波動力学、熱力学、電磁気学、統計力学、
現代理論:相対性理論、素粒子、量子力学、量子光学、量子統計力学、量子物性、。。。
と発展してきたわけだが、古典力学分野は葬り去り、相対性理論、量子力学以降の分野でサイクルで表彰しているように見えますナ。
そうなると、熱力学統計の場合は、量子統計力学しか受賞対象になりえないのだろうか?
まあ、いずれにせよ、物性分野は来年にチャンス到来ということのようですナ。
しかしながら、それぞれの分野にはそれぞれの難問でまだ解けていない問題は山程あるわけだから、そういうのはのきなみノーベル賞から漏れてしまう。こういう問題をどうするんでしょうナア?
さて、だいぶ前置きが長くなってしまったが、今回の受賞対象になった光ピンセットというのは、非常に興味深いので、これをメモしておこう。
というのは、物理の鉄則に、
「ミクロでできれば、マクロでもできる(はず)」
というものがあるからである。むろん、その逆もある。
「マクロでできれば、ミクロでもできる(はず)」
つまり、極微細粒子を光レーザーでトラップし自由自在に持ち運べるなら、このマクロ版の、物体を電磁波で自由自在に持ち運べるはずである、ということになる。
つまり、エジプトのピラミッド建設の時に、何やら振動を使って、マクロの何トンの重さのある直方体の石を自由自在に持ち運ぶことができたという伝説があるように、我々もクレーンを使った力学的持ち運びではなく、光レーザーや電磁波レーザーを用いた、まったく新しいタイプの運搬技術があり得るのではないか?ということなのである。
この意味で、レーザートラップ法とか、光ピンセットとか、電磁場を使ったトラップ法とか、こういうものはマクロ技術への転用ができれば、非常に重要になるわけである。
この光ピンセットについては、日本語解説があったので、それをメモしておこう。以下のものである。
Title<技術ノート>光ピンセット 西山雅祥; 岡本憲二
1. 光ピンセットの原理
光は運動量を持つ.
このことは,光を電磁波としてとらえる電磁気学の立場からも,質量を持たない光子としてとらえる量子力学の立場からも容易に示すことができる.
したがって,光が反射や屈折などにより,その進行方向を変化させた場合や,光の吸収・放出が起きた場合には,運動量保存の法則により,その反作用として光の放射圧(radiation pressure)が生じる.
この放射圧は身の回りのいたるところで生じているはずだが,日常生活でそれと感じることはない.
というのも,この光の圧力は極めて小さいからである.
例えば,レーザーポインターの光(1mW)をミラー表面に対して垂直に入射させて反射させた場合,ミラーにかかる放射圧は約7pNである.
これは,1気圧の気体が70 nm^2の面積に及ぼす力と同じである.
この微弱な力を巧みに利用する方法を考案したのが,米国ベル研究所のAshkinであった.
1970年代,Ashkinは, レンズで光を集束させると,その集光点に直径がマイクロメートル程度の微粒子を捕捉する力が発生することを発見した [1].
この手法を用いると,あたかも,ピンセットでつまむように,微粒子を捕まえ, 三次元的に自由に動かすことができる.
今日では,この光捕捉技術は,光ピンセット,または,光源としてレーザーが通常用いられるので,レーザー・トラッピング(laser trapping)と呼ばれている.
対象物を“直接”捕まえるマイクロピペットのような手法とは異なり,光ピンセットには,
1)非接触・非侵襲で対象物の捕捉・操作をおこなえる,
2)トラップ光を遮断すれば容易に放すことができる,
3)多数の粒子を同時にそれぞれ干渉することなく制御できる,
などのメリットがある[2-6].
放射圧は光の運動量保存則に則り,反作用としてはたらくのだから,通常はモノを「押す力」として作用するように思える.
ところが,光を集束させることで「引き寄せる力」へと変化するのである.
この放射圧による捕捉原理について,微粒子の屈折率が溶媒よりも大きい場合を例として説明する.
微粒子が波長よりも大きい場合は,幾何光学を用いる.
レンズで光を集光すると,微粒子に照射される光線は,微粒子内に入射する際と,射出する際において,二度屈折することになる(図1a).
こうした光の進行方向の変化は,放射圧として微粒子に力を及ぼすことになる.
詳細は省くが,様々な角度から入射する光の放射圧を足しあわせると,微粒子を集光点へと引き寄せる力が生じることになる.
その一方で,光線には微粒子の表面で散乱される成分もあり,その合力は集光点から微粒子を遠ざける方向に力がはたらく.
その結果,微粒子は,光の集光点よりも若干ずれた所を中心として捕捉される.
溶液中での熱揺らぎなどの影響で微粒子が捕捉中心から遠ざかったとしても,(ある一定の範囲内であれば)図1bに示すような復元力がはたらき,焦点付近へと引き戻される.
微粒子の大きさが波長程度の場合にも,同様の説明がなされる.
次に,光の波長より十分に小さいナノメートルサイズの粒子の場合を考える.
Rayleigh の光散乱理論に則り,ナノ粒子を1個の電気双極子として近似すると,周囲の電場から受ける力はLorentz力として得られる.
Lorentz力は, ナノ粒子と媒質の比誘電率に依存し光強度勾配に沿った方向にはたらく勾配力と,光の進行方向にはたらく散乱力の2つの成分からなる(図1c).
レンズを用いて十分に大きい角度から光を集光させると,勾配力を散乱力よりも大きくすることができるため,ナノ粒子を焦点付近に引き寄せトラップすることができるようになる.
一般的に,光ピンセットで集光点に捕捉できる物体の条件として,レーザー光の波長に対して透過率が高く,溶媒よりも屈折率が高いことが挙げられる.以上のような条件を満たせば,細胞なども捕捉できる.
また,金属粒子に関しては,粒径が大きい場合は表面での散乱力が大きく捕捉できないが,ナノメートル程度の粒子では捕捉可能となる.最後に,電磁波エネルギーの観点からみた捕捉原理について,Box.1にまとめておく.
図1 光ピンセットの捕捉原理
微粒子の屈折率(誘電率)が溶媒よりも大きい場合を作図している.
a,b光の波長よりも大きな微粒子が捕捉される場合.なお,bにおける白抜きの矢印は,光の進行方向が変わることで微粒子に及ぼす反作用の力を表している.
c光の波長よりも小さな物体が捕捉される場合.
はたして、このレーザー光による、極微細粒子のトラップ技術をマクロの世界で実現可能だろうか?
マクロの物体でも、基本原理はそれほど変わらないと考えられる。
物体の長さと波長の関係は、相似法則が適用できるだろう。だから、ほぼそのまま成り立つと考えられる。
電磁場を物体に集中させ、周波数を制御し、波長が物体より大きい場合は、電磁場(電波)は、物体よりずっと広がった場所から放出し、その強度の勾配に沿って力が働くと考えられる。光学のレンズに相当するものは、パラボラアンテナのようなものか、あるいは、2箇所から同時に放射する発振器のようなものでも良いのかも知れない。
いずれにせよ、上のレーザーの記述で、
微粒子→物体
光→電波
レーザー光→単一周波数電波=電波レーザー
レンズ→アンテナ
集光レンズ→パラボラアンテナ
。。。
というように読み替えればいいだろう。
この場合の電波は、おそらくテスラ波のような電荷振動の縦波がベストだろう。
もしこういうマクロ技術が誕生すれば、UFOが光で人間を円盤に引き上げるというような技術が可能になるだろう。
電磁場の縦波は、エーテルの音波=広義の重力波である。
電磁場には横波しか存在しないことになっているが、超高電圧、超高周波の電磁場は、縦波としての性質を持つのである。もし周りに電荷があれば、それはプラズマ波として見ることができる。
つまり、言い換えれば、電磁気的な音波を使って物体を浮き上がらせるのである。
ところで、普通の空気の音波を使って物体を持ち上げるという技術はすでに完成しているのだ。これである。
3次元的に操作できる「音波浮揚」技術:東大が開発
科学者たちが物体を宙に浮かせるのを見るのは、いつでも素晴らしいものだ。2011年には、イスラエルのテルアヴィヴ大学研究者チームが、超伝導体のマイスナー効果で物体を浮上させる動画が話題になった。
そして、東京大学の研究チームは12月中旬、物体を浮上させる研究の最新成果を発表した。チームが行ったデモンストレーションの動画は驚異的だ。小さなビーズの列が空中に浮き上がり、完璧なフォーメーションを保って飛び回っている。鉄製のネジも、静かに空中で回転している。そのほか、プラスティック片やマッチ棒の先端、さらには水滴までもが引力に逆らっている。これらはみな、超音波を用いた緻密な操作によるものだ。
アイデア自体は新しいものではない。動画でも触れられているとおり、音波を使って物体を空中に浮かせる「音波浮揚」の技術は、数十年前から研究されている(日本語版記事)。しかし今回の新しい要素は、物体を3次元的に動かせる点だ。
秘密は、スピーカーのユニークな配列にある。従来は、音波が固体板に跳ね返るように配置していたのを、東大チームは、4枚のパネルスピーカーを対面させるように配置した。これらスピーカーの壁によって、超音波の「焦点」が形成される。
超音波の焦点は、各スピーカーアレイからの出力を調整することによって、焦点に捕捉された物体ごと動かすことができる。音波は人間の耳には聴こえないため、この装置は無音で作動させることが可能だ。
同様の技術を巧みに応用している例は、すでにある。マクラーレン社は先ごろ、自動車のワイパーの代わりに、超音波振動を用いて雨をはじく技術を導入する計画を発表した。そのほか考えられる用途は、ホバーボード(SFに登場する、浮遊するスケートボード)から空飛ぶ絨毯まで、多岐にわたるだろう。
個人的には2014年が、宙に浮くアリのおもしろGIF画像が話題を呼ぶ年になるのも悪くないと思う。今年も科学者たちの健闘を祈りたい。
ところで、今夜はノーベル化学賞の発表がある。物理より化学の方が、日本人の可能性が高いのではないか?
飯島澄男博士に期待しよう。
若者よ、大志を抱け!
時代は君たちのものだ!
頑張ろう、地球人ヨ!

by kikidoblog2 | 2018-10-03 10:21 | 普通のサイエンス