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悲報「最近の院生はセミナーを聞かず」:久しぶりに神戸で物理の講演したんだが。。。!?   

Live as if you were to die tomorrow. 明日、死ぬかのように生きろ。
Learn as if you were to live forever.  永遠に生きるがごとく学べ。
ーーマハトマ・ガンジー

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マハトマ・ガンディーさんの名言・格言・英語 一覧リストより


みなさん、こんにちは。

さて、一昨日は神戸大学で一つ講演会で講演をしてきたんだが、その内容がこれ。

杉田元宜博士の生体の新陳代謝の理論

これはいまから70年ほど前から60年ほど前までのおよそ10年間、つまり、1945年終戦直後の1947年から1957年、私が生誕するころまでに杉田元宜博士が行った生命研究の第一期、第二期、第三期のうちの第二期の研究であった。

第一期の研究は2年前にすでに講演した。これだった。

杉田元宜と熱力学の第四法則


ちなみに、第一期と第二期の最初までをまとめたものがこれだった。
Motoyosi Sugita—A “Widely Unknown” Japanese Thermodynamicist Who Explored the 4th Law of Thermodynamics for Creation of the Theory of Life
Motoyosi Sugita — A "Widely Unknown" Japanese Thermodynamicist Who Explored the Fourth Law of Thermodynamics For Creation of the Theory of Life

第三期が当時我が国に突然のウィーナーのサイバネティックスの激流が到達し、世界中の科学技術者がサイバネティックスの洗礼を受けていく最中、杉田博士もそれに飲み込まれ、生命のサイバネティックス理論を構築することに挑戦し、世界初のマイクロサイバネティックスという理論を生み出したわけだ。

その杉田の論文が英語で、後に複雑系理論の創始者となって米サンタフェ研究所のスーパースターとなるスチュアート・カウフマン博士のThe Origin of Orderに唯一引用されている論文である。

実はカウフマンの恩師=師匠は、マカロック=ピッツの脳理論のマカロックであり、そのイギリスの仲間が、グッドウィンであり、そのグッドウィンが欧州の国際学会で杉田が発表したマイクロサイバネティックスの理論に影響されたからである。グッドウィンはカウフマンがローズ奨学生としてケンブリッジに留学した時の師匠だった。

そして、イギリスのグッドウィンとアメリカMITのマカロックの二人が若い医師で理論に転向中のカウフマンに論理回路モデルのネットワーク理論への応用を手ほどきした。

それが、カウフマンの有名なブール代数ランダムネット理論1969年のものである。

我々、私と山田弘明博士とその学生だった木村修一君で、それをスケールフリーネットワークへ応用したわけだ。

Boolean dynamics of Kauffman models with a scale-free network

だいぶ前のことだが。その当時は私もまだまったく杉田先生の存在すら知らなかった。名前だけはカウフマンの本で知ってはいたが。その重要性には微塵にも気づかなかった。

あとで、つまり、この2,3年で徐々に知ったことだが、グッドウィンはいち早く杉田理論の重要性を認識した。だが、先にいろいろやられてはまずいと思ったのか、研究会で事あるたびに、杉田理論に噛み付いた。

つまり、連続変化をブール代数の論理回路で近似することを変だ、おかしい、気違い沙汰だというようなクレームをつけた。杉田は気にせずどんどん研究したわけだが、徐々に意気消沈していった。

周りは一橋大学、文系の学生しかいない。研究競争でも限界がある。杉田のグループは解析でも、アナログコンピュータを組み立てて計算するレベル、マカロックとカウフマンのグループは世界最先端の電子計算機があった。勝ち目はなかったわけだ。

こうして、グッドウィンが杉田に噛み付いて意気消沈させる。その傍ら同僚のマカロックに言って杉田のアイデアをカウフマンに計算させる。

とまあ、こういうよくありがちな戦法で、いきなり世界最先端に現れた。それがスチュワート・カウフマンだった。

その後カウフマンがいろいろ複雑系で言っているようなことは、すでに何十年も前に杉田元宜は自著の中ですべて詳細に論じていたんだが、残念ながら、我が国は世の常。東大京大の主流派の方にだけ目が向いていた。素粒子論と統計力学の方だけ、そして物性論だけが脚光を浴びてしまい、偉大なる杉田の思想はまさにアンサングヒーローとなったようだ。

というようなことを勉強していくうちに見つけるわけですナ。

それで非力ながら孤軍奮闘して、ここ2,3年杉田先生の偉大なる秘密の研究を紹介する、一人文士、語り部、使徒のような感じで自己中となっているわけである。

まあ、今回は講演会開催が1週間ほど前だったから、あまり十分な準備ができず、しかも奥さんがいきなり不調で2日寝込んだから、その世話なんかで、賞味2日間しか準備できなかった。

そうやって講演会をしてみると、たくさんいるはずの大学院生の参加が0。
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あとで、教授に聞いてみると、昨今の大学院生は自分に与えられたテーマしか関心がないらしい。

どことなく、会社の上司が部下の若者を飲み会に誘っても誰もこないというのと似ている気がするナ。

実は、驚くなかれ、アメリカの大学院では、学部のセミナーや講演会のたぐいは大学院生は欠かさず参加しなければならない。

なぜか?

というと、セミナーは授業の一貫だから、ちゃんと1単位もらえる仕組みになっている。全部参加すれば、単位になるわけだ。

ちょっと前にメモした生物学者の村上和雄博士の本にもあるように、「科学は夜開く」のである。

科学はナイトサイエンス。つまり、夜の非公式の飲み会や夕食の非公式のざっくばらんな会話で耳学問としていろいろ議論したり聞いているうちに、何かのヒントが見つかって、良い研究につながる。

こういうようなことが非常に多いのである。

だから、若い学生は、毎回違った研究を見ることにより、さまざまの一見異なる分野の中に関係を見つけたりして、大発見できるチャンスがあるわけだ。

だから、欧米ではセミナー参加は学生の義務となっている。

この「義務と自由の混同」が、日本人の昔ながらの伝統というか、日本人メンタルの1つなのですナ。

小学生が読み書き算盤するのは、小学生の自由研究ではない。それは義務だ。だから、義務教育と名付ける。別に先生の教える義務でもなければ、政府が行う必要のある義務でもない。生徒自らの義務なのだ。

大人はその手伝いを行うだけサ。

さて、講演が終わり、大学の宿泊施設で一泊し、翌朝が昨日で、9時半チェックアウトだったから、チェックアウト10分前には出ることにして、六甲道のマクドナルドでコーヒーで一服した。

すると、店員がハン君でどうみても韓国人だった。やはり大都会のマックは外人だらけだなと思いながら、

「ホットコーヒー、ミディアムサイズ、ブラックで」

と3文字文で言ったところで、100円ですというから、阿南のマックより50円安いなと思って待つと、

「お待たせしました〜」

といって出てきたのは、スモールサイズだった。

そして、いきなりシュワっと両手で三角形を作る韓国式の組みてで渡してくれたんだ。

そこで他の客にもそうしているのかと観察していると誰にもしていなかった。

ということは、その韓国人のハン君、俺を韓国人の目上の人と思ったということらしい。

いやはや。


そうして気を取り直して、三宮へ行き、前に徳島のそごうの紀伊国屋で見かけた南部陽一郎博士の本を買おうと行ってみたら、昨日お土産を買いに行ったときも10時の開店前から長蛇の列だったんだが、なんだこの列はと思いつつ昨日はチョコだけ買って研究室へ行った。

それで今回はちょっとこの列を追っかけてみることにした。すると、最上階で日本全国のバームクーヘンの展示即売会が開催中だった。

目玉のおすすめ商品はあっという間に売り切れ。どうやら主婦共はそれを目当てに来ていたらしい。

ついでにせっかくだから、47都道府県のどのバームクーヘンが良いかわからないから、俺は岩手に貢献しようと岩手の平泉黄金のバームクーヘンにした。
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(帰宅後に食べてみると、金箔だらけの一品だった。金を食っている感じ)


いや〜〜、神戸の主婦連は恐るべし。

そして、紀伊国屋へ向かい、ついに南部陽一郎の本を買えるかと思ったら、なんと三宮そごうの紀伊国屋の物理数学の棚は実に狭かった。若干目新しいのがちょっとしかなかった。南部の本がない。

それでしょうがなく、そこで買ったのがこれだった。

ハイゼンベルクの顕微鏡~不確定性原理は超えられるか
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そして、その本の小澤の不等式の発見者の本。

量子と情報 ―量子の実在と不確定性原理
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私はこの小澤正直博士が一番ノーベル賞に近いのではないかと思っているわけだ。

さて、とんだ衝動買いになってしまったんだが、その後、本当はもっとゆっくりいろいろ本を見て時間を潰すつもりが、急に午後から雨の天気予報に変わっていたので、もうすぐに徳島に帰ることにした。それできっぷを変更してもらい、徳島のそごうでかねてからいつか買って読もうと思っていた故南部陽一郎博士の本を買った。前に一度私が見てから誰も買っていなかったんだと思う。

南部陽一郎 素粒子論の発展
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いまこれを読み始めているんだが、やはりオリジナルの創始者の言説は興味深い。

特に戦前戦後の我が国の理論物理の素粒子論分野の歴史が実に興味深い。

簡単にいうと、当時の日本人はあまりに西洋世界に対して無知だった。まあ、戦争で世界から閉め出されて鎖国状態だったから、しょうがないんだが、欧米のことがわかっていなかった。

非常に簡単にいうと、いくら南部陽一郎博士が良い研究をしたといっても、大きな科学の流れでみれば、

欧米の手のひらの上で動かされていたにすぎない

ということである。だから、我が国内の歴史には非常に興味深いものがあるが、欧米の流れに関しては当時の日本人には知りえない事情が無数にあったわけだから、その点は浅くなる。

たとえば、

戦後なぜハイゼンベルグ学派が消滅したのか?

南部の知るところでは、朝永振一郎の師匠だったウェルナー・ハイゼンベルクの仲間は霧散霧消して多くはアメリカへ流れたと書いているだけだ。

実は、このハイゼンベルクの取り巻きたちにもユダヤ系のドイツ人が非常に多かったわけだが、そうした欧州のユダヤ系の学者をアメリカに受け入れることを裏から率先したのが当時世界最高の名を欲しいままにしたノーバート・ウィーナーだったのだ。特に、後に湯川や朝永が行くことになったプリンストン高等研究所は、ノーバート・ウィーナーが、アインシュタインやユダヤ系学者を亡命させるために運動して作った研究所だった。ウィーナーはアメリカの早熟にして大天才で、アメリカの軍事技術の総本山のMITの看板教授になり、軍産複合体のドンとなったバネバー・ブッシュの盟友でもあった。だから、政治力も相当な力を持っていたのだ。戦争前までは。

要するに、戦後欧米の最先端の科学者たちを、特にユダヤ系の学者たちを率先してアメリカの職につかせたのが、ウィーナーの働きだったんですナ。ウィーナーの伝記にそういうことが記録されている。

情報時代の見えないヒーロー

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すべては地下でつながっている。

長くなったので、最後に、南部先生の一番最初の記事の最後に、

日本にとって最悪の時期に、なぜ理論物理学の分野では最も創造的な仕事が続出したのか

という疑問があり、それに対する南部先生の答えが出ているが、

(あ)戦争の恐怖から逃れるために純研究に自己没頭した結果
(い)戦争で孤立化し外界から遮断されかえって独創性が増した結果
(う)戦争の混乱で教師や恩師への忠誠心が薄れ、自分で自由に考えることができた結果
(え)説明不能な特殊な時代だった結果

の4つの可能性が挙げられている。

俺の個人的見解でみれば、やはり「明日死ぬかも知れないから今日しておこう」という精神が戦争下で醸成された結果だろうと思う。

これは、マハトマ・ガンジーの言葉:

明日死ぬと思って生き、
永遠に生きると思って学べ。


に一番近いムードがあらゆる人達に行き渡った結果だろうと思う。

明日も明後日も何十年先も無難で大丈夫と思っているいまの若者たちは、それほど真剣に学ぶ必要がない。

今日できなくても明日があると思っているわけだ。

だから、俺の講演はまたいつか聞けると思っている。かも知れないわけだ。

だから、灯台下暗しで、自分の研究室で講演会を開催しているのに、大学院生はだれも聞きに来ない。


いやはや、オチが付いたところで、お手を拝借。

論文数が減った理由の一番は、大学院生がセミナーに出ないということかもしれませんヨ。

刺激を受けなければ何も生まれない。

若い女も性感帯を責めなきゃ、だれも「あは〜〜ん」とは言わないんちゃうか?

脳みそもまったく同じ。



いやはや、世も末ですナ。





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by kikidoblog2 | 2019-03-07 12:18 | 杉田元宜・生命理論

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