ノーサイン野球の富岡西vsオールサイン野球の鳴門:オールサイン野球の圧勝に終わる!
2019年 07月 30日
いや〜〜、春の甲子園徳島県予選決勝の富岡西vs鳴門が今終了した。この春の甲子園に21世紀枠で120年初で出場した、ここ阿南の富岡西高校が昨年の覇者鳴門高校に見事に潰された。
鳴門が甲子園へ 8ー1で富岡西を下す【第101回全国高校野球徳島大会決勝】
富岡西はノーサイン。鳴門はオールサイン。
つまり、高校野球の指導育成の両極端のチームが対戦したわけだ。
鳴門の打者は一球一球ごとに監督のサインを見る。
一方の富岡西は、まったく監督は見ない。むしろ無視。好き勝手に打ち、好き勝手に走る。
この自由野球と管理野球が対決した結果、
スクイズ2本成功
これで勝負がついた。
ところで、俺にはこのスクイズ。鳴門の監督が富西の監督に
ノーサイン野球では鳴門の野球には勝てないヨ!
というなにかのメッセージのように見えた。前に打点を上げている当たっている打者にわざわざスクイズさせたわけだからだ。
つまり、やはり高校野球も甲子園クラスになれば、
ノーサインで勝つのは不可能
だということになる。
これを見事に証明したようだ。
実際、初回は同じように相手のミスで1点ずつ得点。お互いに持ち味を出してスタート。
問題の4回。ともに満塁のチャンス。
表の鳴門は監督のオールサインから相手のミスを誘い、2点ゲット。
一方、ノーサインの富岡西は1アウト満塁のチャンスをスクイズもしないで、無得点。3人の残塁。
ここ数年富岡西が準々決勝止まりだった。その時も、いつも同じような残塁の山を築いて負けたのだ。そういうのを何度も何度も見させられてきたわけだ。
が、今回はエース浮橋の力投でそれでもなんとか決勝まで登ってきた。なにせ第一シードである。普通の練習試合のたった1試合であれば、まず負けなかっただろう。
しかし、甲子園は予選からずっと連投に次ぐ連投になる。
こうなると、卒なく勝つほかはない。
そのためには、やはり当事者ではない監督の経験から来る観察や作戦に基づく戦術が必須になる。
そうなると、どうしてもサインを送るしかない。
ノーアウトで1ヒットで出塁すれば、もう次はバントで送る。そして、次の2打席でワンヒットを期待する。
ワンアウトでヒット出塁すれば、その時も次は送りバントで3塁を狙う。そして次のワンチャンスにかける。
もしノーアウトで2塁打なら、次は送りバントで3塁を狙う。
これを繰り替えすしかない。
しかし、富岡西の場合は、そういうことせず、フリー打撃である。それでも1試合に何度か出塁し、運良く満塁のチャンスを作っている。
しかし、最後もフリー打撃で方向を決めない、打つボールを決めない、ノーサイン。
だから、残塁の山を築く。
高校生レベルで、しかも甲子園レベルで、小中のような相手の守備のミスや連打を期待することはまずできない。
相手にはプロの即戦力の投手がいるわけだ。
というような案配で、高校野球で
ノーサインが良いか、オールサインが良いかという問題に対する回答が出た試合だったといえるだろう。
ノーサインvsオールサイン→オールサインの圧勝!!!
もしこの鳴門の監督が今の富西の監督だったら、おそらく富西の圧勝だっただろう。
高校生は数ヶ月で子供が大人のように成長する。
春の選抜で優勝した愛知の東邦に善戦した富西も、この数ヶ月で大きく成長した鳴門の選手に追い越されたということである。
富岡西が守備だけに力を入れれば、鳴門は打撃に力を入れた。
野球は打たなきゃ勝てない。サッカーはゴールしなきゃ勝てない。
とにかく、点を取らないと勝てない。
富岡西はその強化したはずの守備が崩壊して負けた。守備はメンタルに左右される。だから、いくら鍛えてもメンタルコンディションでミスを起こす。失点につながる。
だから、守備よりも打撃。打って点を取る方を鍛えるべきだった。
かつての池田高校の蔦監督は細かいことは言うな、とにかく遠くへ飛ばせと打撃強化をはかって成功したわけだ。そのためには、筋トレ、筋トレ、筋トレの日々だったという。
富岡西と鳴門が並ぶと、鳴門の方が横に大きい。足腰の太さが違った。
野球は体でするスポーツである。
もう最初に礼をした段階から、富西に勝ち目がないと俺は思ったネ。
はたして富西はこれまでどおりノーサイン野球を続けるのか?あるいは、定番のオールサイン野球に変えるのか?
今後のお楽しみですナ。
おそらく、今後もノーサイン野球を続けて、また120年後に甲子園に出れるレベルになるくらいだろうナア。
平成最後に富岡西が120年ぶりに目覚めた。
これだけでも快挙だった。
いい夢を見させてもらいましたヨ。
まあ、いずれにせよ、野球のルールブックにあることはすべて使う。サインできるのなら、サインを有効に使う。三回の守備攻撃のタイムがあるのなら、それも全部使う。
富西は最後の最後に初めて監督がサイン出して守備タイム1回しか使わなかった。が、その結果2点取られた。サインの送り方、タイムの使い方、全部技術が必要。経験値が必要。野球で勝つのは難しいのである。
ありがとう、富西野球部!
今後を期待したい。
おまけ:
そういえば、この試合は鳴門のオロナミン球場で行われた。実は鳴門は大塚製薬の本拠地である。だから、決勝は鳴門にとりホーム、阿南の富岡西にとってはアウェーである。いまは阿南にもアグリスタジアムがある。
いつも決勝は鳴門。これが鳴門が有利なのは当たり前。球場に慣れているわけだ。
また阿南からは1時間以上2時間近くかかる。
思い出せば、我が家の息子達がサッカーの試合をするたびに、鳴門のヴォルティスのホームグラウンドのあるTSVまで行かなければならなかった。早朝の試合など大変だった。5時起床で準備して会場までドライブ。
こういうのも、大塚製薬のある金銭力、政治力のせいだろう。大塚製薬はオロナミンCで球場を作ったわけだから、野球が大好き。だから、ヴォルティスがいくら頑張ろうが、エースは途中で放出する。万年J2の鳴かず飛ばずでOKというスタイルだ。
この意味では、徳島のスポーツにとり、鳴門の大塚製薬は大きな障害になっているのである。我々は地産地消で大塚製薬の製品を飲んでいるのだが、その大塚の経営陣は徳島県民の障害、邪魔ばかりする。
鳴門の人たちはあまりこういうことをご存じないのではないかネ。もし阿南アグリスタジアムで決勝していれば、ホームの富岡西の方が圧勝していたのかも知れない。徳島の高校野球も高校サッカーと同じく実にアンフェアですナ。
いやはや、世も末ですナ。
おまけ2:
そういえば、いまの富西の野球部小川監督も、私の息子たちが頑張っていた時代のかつてのサッカー部監督も全くの素人監督だった。どうして県南の高校には、ド素人監督しか来ないのか?というと、徳島県の場合、徳島市以北が教育地であり、県南部は漁民や農民出身でないがしろにされてきたからである。だから、水野投手も阿南からわざわざ池田高校まで行ったのである。県教育委員会は、父兄PTAとの会合で、徳島市と鳴門などの父兄の言いなりになって県の予算を談合で決めている。だから、遠い県西部、県南部は校舎建て替えの予算もいつも後回しになり、良い教員も後回しになる。我が家の息子達が卒業した阿南中学は県最後に校舎が建て替えられたが、我が息子たちの頃はまだ校舎が崩壊一歩手前の状態のボロ校舎のままだった。県南部の教育を崩壊させているのもまた県教育委員会である。ほんと県サッカー協会といい、県高校野球協会といい、県教育委員会といい、すべて大塚のある鳴門基準で考えてきたという悪しき伝統が今に続いているのである。
いやはや、世も末ですナ。

by kikidoblog2 | 2019-07-30 17:13 | 阿南&徳島