2018年 10月 12日 ( 1 )   

星「超音波浮揚の話をしよう」→俺「UFO電磁推進の話をしよう」→ワイパーレス自動車は可能か?   

みなさん、こんにちは。

先日光ピンセットのノーベル賞のときにメモしたことだが、
2018年ノーベル物理学賞番外編:「光ピンセット」から「3次元的に操作できる電磁波浮揚技術」へ!?
最近は音響ピンセットも存在する。偶然そんなやつを紹介したサイトを見つけたので、またそれが非常に詳しいので、忘れないうちに一応ここにもメモしておこう。

超音波の話をしよう(13)「音響浮揚いろいろ」
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こんにちは。超音波研究者をやっている、東京大学の星です(名古屋工業大学から異動しました)。

超音波を集束させる装置を使ってあれこれ新しいことをしようとしています。前回は通販で作れる「DIY音響浮揚装置」を紹介しました。

ところで、音響浮揚はここ数年で急速に多様化しています。何となく眺めているとどれも同じに見えてきて、話題になるたび何が新しいのか分からなくなってしまいます。今回はそのあたりを整理してみようと思います。

さっそくですが、音響浮揚の原理を列挙します。音でものが浮くこと自体は1900年代から示され多くの研究報告がなされてきましたが、2000年代に入って次々と新たな原理が提案されています。

【密閉型】
● 定在波音響浮揚
 ○ 垂直クント管
 ○ 音響浮揚チャンバー(1974)
   http://ntrs.nasa.gov/search.jsp?R=19750016702

【開放型】
● 近接場音響浮揚(1964)
   http://dx.doi.org/10.1115/1.3653080
● 定在波音響浮揚
 ○ 0次元操作(1975)
   http://dx.doi.org/10.1016/0041-624X(75)90072-4
 ○ 1次元操作(2007)
   http://dx.doi.org/10.1143/JJAP.46.4948
 ○ 2次元操作(2013)
   http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1301860110
 ○ 3次元操作(2014)
   http://dx.doi.org/10.7567/JJAP.53.07KE07
● ホログラフィック音響浮揚(2015)
   http://dx.doi.org/10.1038/ncomms9661
● 多点支持音響浮揚(2016)
   http://dx.doi.org/10.1063/1.4959862

※ 参考文献(http://dx.doi.org/10.1007/s00419-009-0401-3)&筆者の調査。
ホログラフィック音響浮揚、多点支持音響浮揚は筆者が便宜上命名。

【密閉型】と【開放型】

まずは大きな括りについて説明します。

密閉型は、スピーカを筒や箱に取り付けて内部で共鳴させることで大振幅の定在波を作り出す構成です。可聴音を閉じ込めてエネルギーを集中させるためのものです。
○ 垂直クント管
  http://demoweb.physics.ucla.edu/content/100-kundts-tube
○ 音響浮揚チャンバー
Acoustic Levitation Chamber


一方、開放型は容器を使わず、超音波の直進性や干渉を利用して音響エネルギーを局在させる構成です。物体を差し入れたり、手で触ったりできるという特長があります。こちらの構成は原理が多様です。以下、それぞれの原理について説明していきます。


近接場音響浮揚

超音波振動している振動面の上に平面状物体を載せると、1 mmに満たない距離を隔てて浮上します。これは高速振動に空気の流れが追従できずその場に留まってクッションのように働く現象(スクイーズ膜)によるものです。次の動画の0:28からご覧ください。

Driving System of Diminished Haptics: Transformation of Real-World Textures


浮上距離は小さいですが、重い物体でも浮上させられる長所があります。物体を持ち上げる圧力は振動面からの距離の二乗に反比例することが知られています。そのため、物体に荷重をかけると浮上距離が小さくなるとともに急激に圧力が大きくなって、浮上状態が保たれます。数cm角の面積で10数kgの重量を浮上させられるという報告もなされています。



定在波音響浮揚

超音波のビームで定在波を作ると、音圧の節に引き込まれて微小物体が空中に保持されます。これはビーム進行方向に働く音響放射圧と、音圧の節(=粒子速度の腹)まわりに働くベルヌーイの力によるものです。

物体を空中に保持するだけでなく、超音波を巧みに制御することで動かすこともできます。振動子を対向させて位相差を変えることで1次元的に動かしたり、

Acoustic levitation


複数の振動子を並べて反射板と対向させて振幅を変えることで2次元的に動かしたり(動画では透明な反射板ごしに観察しています)。

Acoustic levitation: Chemical reaction lifted by sound


本連載でこれまでに紹介した「lapillus bug」や「Pixie Dust」も、このカテゴリに含まれます。フェーズドアレイによる集束超音波を用いているため、従来の振動子よりも遠くまで大きな振幅の超音波を送ることができ、また定在波の位置を動かすこともできる特長があります。

定在波では節と腹が交互に現れ、その間隔は波長の半分です。これが浮かせられる物体のサイズを規定します。大きい方は波長の4分の1程度、小さい方は1%程度までと言われています。例えば40 kHzの超音波の波長は8.5 mmであることから、2 mmから0.1 mm程度。粒は浮きますが、粉は浮かない感じ。

この原理では重い物体を浮かせるのは大変です。金属製の物体を浮かせた報告もありますが、基本的には発泡スチロール球や水滴など(大体1 g程度までの)軽い物体が対象です。また液滴の場合、弾けてしまわないよう表面張力とのバランスを考慮して超音波振幅を調節する必要もあります。


ホログラフィック音響浮揚

定在波は互いに逆向きに進む波の重ね合わせで生じるため、振動子と反射板、あるいは振動子同士を対向させ、作業空間を挟み込む必要がありました。それに対して、フェーズドアレイ1枚で音響浮揚を行うものです。

Acoustic Holograms that Levitate Particles


定在波音響浮揚では音圧の腹に挟まれた節に微小物体を捕捉しました。定在波の代わりに、多数の超音波振動子の位相制御によって上空の音圧分布を操り、高い音圧に囲まれた低い音圧の部分に微小物体を捉えます。扱える微小物体のサイズ、質量は定在波の場合と同程度です。
多点支持音響浮揚

超音波の波長より大きな物体を浮かせるものです。定在波音響浮揚やホログラフィック音響浮揚では音場が物体を包み込んでいましたが、こちらでは十分に大きな面に超音波ビームが当たった際に生じる音響放射圧を用いて支えます。また近接場音響浮揚とも異なり、振動子と物体の間に1 cm程度の距離があります。

Researchers demonstrate acoustic levitation of a large sphere




動画では3個の振動子が球(直径5 cm、質量1.5 g)の表面に超音波を照射し、3方向から力をかけています。指3本でボールを下から支える感じです。

なお、論文によると振動子から球までの距離が半波長に設定されて定在波を生じていますが(筆者の見解では)定在波は原理の本質ではありません。定在波は多重反射による共鳴で超音波振幅をかせぐためであり、もし振動子が十分に大きい振幅の超音波を出力できれば距離に制約はありません。

共鳴するときには必ず定在波も発生する(逆は必ずしも真ではない)ため、共鳴と定在波はセットで考えられがちのようです。「共鳴させない定在波でも音響浮揚できるよ!」という論文が最近出版されるほど※。その論文より先に「lapillus bug」や「Pixie Dust」で当たり前のように共鳴させずに定在波音響浮揚していたのですが、そもそもそれらがセットという発想がなかったため、共鳴させていないことを特徴として推していませんでした。今思うと惜しかった(◞‸◟)
※ http://dx.doi.org/10.1063/1.4905130

ということで、今回は趣向を変えて、私の研究というより音響浮揚全般について解説しました。
ご意見・ご要望などあれば、コメントやメール、ツイッターなどでお知らせいただけると反映するかもです。それではまた☆彡

これまでの連載:星貴之

超音波の話をしよう(12)「DIY音響浮揚装置」
https://media.dmm-make.com/item/3675/

超音波の話をしよう(11)「静電気分布計測」
https://media.dmm-make.com/item/3629/

超音波の話をしよう(10)「人工授粉」
https://media.dmm-make.com/item/3623/

超音波の話をしよう(9)「ショッカソン」
https://media.dmm-make.com/item/3613/

超音波の話をしよう(8)「Pixie Dust」
https://media.dmm-make.com/item/3579/

超音波の話をしよう(7)「ナイスステップ」
https://media.dmm-make.com/item/3577/

超音波の話をしよう(6)「集束超音波を広めたい」
https://media.dmm-make.com/item/2531/

超音波の話をしよう(5)「Graffiti Fur」
https://media.dmm-make.com/item/2529/

超音波の話をしよう(4)「lapillus bug」
https://media.dmm-make.com/item/2477/

超音波の話をしよう(3)「コロイドディスプレイ」
https://media.dmm-make.com/item/2413/

超音波の話をしよう(2)「集束超音波で遊んでみた」
https://media.dmm-make.com/item/2209/

超音波の話をしよう(1)「不触(さわらず)の誓い」
https://media.dmm-make.com/item/1577/


この最後の方の、「超音波の話をしよう(1)「不触(さわらず)の誓い」」も実に興味深い。

Three-Dimensional Mid-Air Acoustic Manipulation [Acoustic Levitation] (2014-)


これが「音響浮揚」という技術のフェーズドアレイ技術によるものである。

このフェーズドアレイという技術は、かのアラスカのHAARPで使われたり、天気予報に使うドップラーレーダーなどに使われている技術である。
フェーズドアレイレーダー
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要するに、2次元格子的に配列した発信源をそれぞれの波の位相を電子コントロールすることにより、ホイヘンスの原理を使ってどの方向へも放出できるというアイデアである。

HAARPモニター群から地震電磁波の方角を読み取る方法?:ホイヘンスの原理

フェーズドアレイ音響浮遊装置の作り方がこれだ。
集束超音波を使って触れずに押す 【字幕付き完全版】 BGM



さて、私が特に興味を持っているのは次の3点である。

(あ)音響は縦波である。
(い)電磁波への応用が効くはず。
(う)電磁波の縦波の定在波を作れるか?



つまり、普通のサイエンスの電磁気は、装置から離れた場面、つまり、電波源から離れた場所での現象を考える。こういう場合、電磁波の横波だけが生き残り、縦波が存在しないかのようにみえる。

しかし、元祖マックスウェルから、ヘビサイド、そしてヘルムホルツに至るまで、もし現象が発信源のすぐ近くにある場合には、電波発信源の近接域には電磁波の縦波が存在してもよろしいのである。

電波は光速で走るから、かなり遠くでも実際上は近接とみることができる。

というわけで、三段論法で、我々のスケールの世界では電磁波に縦波が存在できるのである。

上に見たように、音響浮揚で超音波=音の高周波を用いている。

したがって、もし我々が電磁波において音響の超音波に対応するものは、電磁波の高電圧高周波であるわけだから、ニコラ・テスラが発見したように、電磁波の縦波の高電圧高周波を扱い、これでもし定在波を生み出せれば、そこに物体を飛ばせることができるはずなのである。

このアイデアは、かのハチソンの実験の現象も説明可能に見えるのである。

つまり、ハチソン効果は、電磁波の縦波の定在波で生じる現象だと考えられるのである(予想できる)。


ニコラ・テスラは、もし物体がフェーズドアレイのような発信源そのものを物体の内部に設置できれば、その物体そのものが空に浮き上がると考えた。つまり、その物体は飛翔体になるのである。

そこでニコラ・テスラは、高電圧高周波発生装置を物体内部に置いて、高電圧高周波のAC電圧を物体の下面に生み、上面に直流高電圧を発生できれば、その乗り物は宙に浮かぶと考えたのである。


この思想は、音響浮遊の原理とほぼ同一にみえるのである。

音響浮遊も外部の音源から発せられる超音波の圧力で浮遊するものであるが、もしその物体そのものが内部から超音波を発することができれば、その物体自体がドローン化できるはずである。

というようなわけで、電磁気的に物体が浮き上がる技術は不可能ではないと予想できるわけである。


少なくとも、音響浮遊技術のように、外部の電磁波源を使って、ホログラフィックに物体を浮かせることは可能なのではなかろうか?

実際、伝説によれば、ニコラ・テスラは外部源を使ってミサイルを飛ばしたのである。


我が国にはフェーズドアレイ技術もあれば、高電圧高周波技術もある。

というわけで、望めば、空飛ぶ円盤は製作可能なのではなかろうか?


ついでに言うと、要するに空飛ぶ円盤を電磁推進で行うには、物体の周りに高電圧高周波の定在波で取り囲めばよろしいのである。決め手は定在波=スタンディングウェーブであった。

高電圧高周波の電位でその周りの真空は固くなる。

これは高周波高電圧振動がファンデルワールス力を生じるが、それがちょうど水の中では、疎水的相互作用を引き起こして、油性の成分になり、水と反発するというのと非常にアナロジーの効く現象だと見ることができる。

水中では油や炭化水素のようなものの周りでは、水分子は固くなる、エントロピーが減るのである。一方、電荷のあるイオンの周りではエントロピーが増し、水分子は吸い寄せられ、よく動き回る。つまり、イオンは水中では動きやすいが、疎水基は動きにくいのである。抵抗が増す。

真空中でもこれと似たようにことが、エーテル中に起こすのだと考えられるのである。


ところで、音響浮遊の技術をイタリアの自動車の大企業のフィアットだったか、マクラーレンだったか、すでに自動車のワイパーレス化のために研究中だというのである。

自動車や飛行機にはワイパーがある。雨が降れば、雨水をワイパーで拭く。

ずっと昔から唯一変わらないで残ってきたローテクである。

見た目も悪い。

いくら車が流線型でもワイパーがつく。F1もそうだ。

もしワイパーレスになれば、どれほどすばらしいか?


私の親父も私が小学生の頃から、自動車のワイパーの代わりを発明しろと言っていた。しかし、いくら考えてもいいアイデアは浮かばなかった。

しかし、いまやそれがかなり近いのではないか?

音響的に雨水を蹴散らすのでもいいし、電磁気的に蹴散らしてもよい。あるいは瞬時に蒸発させてもよい。

いずれにせよ、もし自動車のガラスの表面に硬い空気層や電磁層の膜を生むことができれば、それが雨水を寄せ付けないのである。

透明な膜を張る。


若者よ、新技術に挑戦せよ!


もしこういうものに研究費が出ないとすれば、我が国は終わりだろう。



いやはや、世も末ですナ。




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by kikidoblog2 | 2018-10-12 16:43 | 普通のサイエンス